2016 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ同軸ワイヤー構造構築によるカーボンナノチューブ光触媒の高機能化
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15H03519
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高口 豊 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (10293482)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノチューブ・フラーレン / ナノ材料 / 超分子化学 / 新エネルギー / 触媒・化学プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブをコアに持つナノ同軸ワイヤー構造構築法を開発し、様々なナノ同軸ワイヤー構造構築を可能とするとともに、カーボンナノチューブ光触媒の高機能化を達成することを目的とし、以下の検討を行った。 1)グラフェン系メゾ孔化合物のエッジ修飾法を利用した蛍光材料導入について検討し、分子吸着によるメソ孔の伸縮が蛍光を変化させることを見出した。今後CNTとの組み合わせによる化学変換プロセスの可視化へと応用可能である。(Chem. Lett. 2016)2)フェロセン部位とアクセプター性の高いパイ平面からなるカーボンナノチューブ内包用色素の設計と合成に成功した。今後CNTへの内包によるカーボンナノチューブ光触媒の高機能化に利用する。(Chem. Lett. 2017)3)光触媒機能を高める量子ドットとして利用可能なCdSeクラスターの新たな合成法を開発した。(Bull. Chem. Soc. Jpn. 2017)4)これまで明らかとなっていなかったカーボンナノチューブの光励起による水素製造が可能であることを世界で初めて明らかとした。これにより、近赤外光を利用した水素製造光触媒として、本研究のカーボンナノチューブ光触媒が特に優れていることが明確となった。(Sci. Rep. 2017)5)フラーレン-ペンタセンモノ付加体の自己会合と蛍光挙動について明らかとし、励起波長と蛍光波長のスイッチングを見出した。こうした結果は、カーボンナノチューブ側面の物理修飾においても重要な知見となる。(ChemistrySelects 2017)6)カーボンナノチューブ側面修飾用の新規デンドリマーの開発に成功した。(Can. J. Chem. 2017)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来、励起子解離エネルギーが大きいために困難であると考えられてきたカーボンナノチューブの光吸収帯を利用した光触媒機能の発現について、(8,3)SWCNTをコアに持つカーボンナノチューブ光触媒を用い、単色光を利用したカイラリティー選択的な光励起により検討したところ、良好な量子収率で水素が発生することを見出した。 これは、当初の目的である、カーボンナノチューブ光触媒の有用性を明らかにし、高機能化を達成するという観点から、無機光触媒では利用できない長波長領域を利用した水素発生に使えることを示しているだけでなく、ナノ材料化学そのものとしても、溶液系での励起子解離によるキャリア生成法としての知見を与えており、きわめて重要な結果となっており、計画以上の進捗があったということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、引き続き、以下の検討を行う 1)色素内包カーボンナノチューブを利用した光触媒合成と性能評価 2)新規デンドリマーを利用したカーボンナノチューブ側面修飾と光触媒への応用 3)カーボンナノチューブ光触媒を組み込んだZ-scheme光触媒系構築 4)カーボンナノチューブ光触媒のフィルム化 項目、3と4は、当初の研究計画よりも更に進んだ研究内容となっている。
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Research Products
(9 results)