2015 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル表面励起法を用いた室温原子層堆積法の深化と応用
Project/Area Number |
15H03536
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
廣瀬 文彦 山形大学, 理工学研究科, 教授 (50372339)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 原子層堆積法 / ナノコーティング / 金属酸化膜 / 色素増感太陽電池 / 吸着 / 酸化 / 金属腐食 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アルミナハフニアを題材とした室温複合酸化物原子層堆積の研究を行う。その研究の過程で、複合酸化物の室温製膜を実現するために、原料ガスの競合飽和吸着過程を把握し、自在の濃度で金属プリカーサーを吸着させるプロセスの確立を行う。そのために吸着と酸化の素過程を赤外吸収分光を用いたその場評価で明らかにする。本研究で表面の金属プリカーサー密度を自在調整する技術を獲得し、高精度で濃度調整可能な複合酸化物原子層堆積法として完成させる。応用として、色素増感太陽電池、アルミナシリカによる超防食コート、さらに人工ゼオライトとしての原子力汚染吸着フィルター、高性能ゲート絶縁膜としての実用可能性を明らかにする。本研究を端緒に、超格子セラミックスコートによる超酸化膜ナノテクノロジーの可能性を明らかにする予定である。 本年度の成果としてアルミナハフニア系の複合酸化膜の開発のために、酸化アルミ表面の有機アミノハフニウムの室温吸着、さらに酸化ハフニウム表面のトリメチルアルミの室温吸着の評価を終え、表面飽和条件の抽出を終えている。さらに、その応用として、酸化チタン上にチタニアとシリカではあるが、複合酸化膜を形成し、色素吸着増強とキャリア再結合防止効果、さらに劣化防止効果として色素増感太陽電池としての発電性能の向上を確認する至っている。 防腐食コーティングとしてアルミナとチタニアの多層構造による膜形成を試験し、ステンレス表面において濃塩酸浸漬で15分の耐久性を実現し、防腐食の効果を確認している。さらに同膜には水蒸気によるガスバリア性があることがわかり、有機エレクトロニクス向けの水蒸気バリア性能についても今後評価を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、室温原子層堆積法を用いて複合酸化物の堆積技術の獲得とその応用展開を進めるものである。平成27年度では、堆積技術獲得のための反応の評価手法を立ち上げ、実際にアルミナハフニア系の反応評価は終了している。さらに、その成果として、複合酸化膜の試作を行い、色素増感太陽電池や防腐食コーティングにおいてその効果を確認するなど、計画のとおりに進行しており、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで展開してきた複合酸化膜の応用として、防腐食コーティングの性能向上研究を進める。さらに、同防腐食コーティングはガスバリア膜としての可能性もあるため、水蒸気透過性の評価試験を進める。人工ゼオライトはアルミナとシリカの複合になるが、成膜試験を進めていく予定である。
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Research Products
(8 results)