2017 Fiscal Year Annual Research Report
Artificial synapse formation by molecular bottom-up technology
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15H03541
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
河西 奈保子 首都大学東京, 大学教育センター, 教授 (50393749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住友 弘二 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (30393747)
湊元 幹太 三重大学, 工学研究科, 准教授 (80362359)
田中 あや 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 研究主任 (80564278) [Withdrawn]
大嶋 梓 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 研究員 (90751719) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノバイオ / 人工シナプス / 出芽ベシクル / ナノピラー / 脂質膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、分子ボトムアップテクノロジにより神経細胞との人工的なシナプスの形成を実現することを目標とする。2017年度は以下の3点を並行して進めた。 1シナプス関連因子のうち、ラットのカドヘリン2、ならびに、細胞接着分子1について、全長のもの、ならびにC末端に蛍光タンパク質を融合したものを発現するバキュロウイルスを得た。感染させたSf9細胞の検鏡から、後者の発現細胞において細胞質の分離が阻まれた形態が認められることが分かり、発現したタンパク質の機能評価の一方法となることが示唆された。並行して組換え体ウイルスの融合条件の検討も行った。さらに、細胞接着分子1の出芽ウイルスの脂質支持膜への融合挙動について脂質や溶液の条件を変え検討を行い、AFMにより観察するとともに、ウィルスのパターニングを行った。同時に神経細胞成長への影響についても検討を開始した。 2 ベシクル融合やタンパク質再構成に重要な役割を果たす脂質膜ドメインの制御を試みた。特に、マイクロウエルを架橋する自立膜において、基板支持膜と自立膜の間の脂質の側方拡散を通したドメイン形成・消失についてモデルを提唱するとともに制御方法を検討し、タンパク質の融合制御の可能性についても思量した。 3 シナプス形成因子として、細胞接着分子の抗体をピラー上に修飾し、伸展が誘導された神経突起におけるタンパク発現について、超解像顕微鏡による検討を開始した。ピラー上に成長した神経突起のタンパク発現の観察のためには、試料調整の最適化が必須であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シナプス関連因子のうち、ラットのカドヘリン2、ならびに、細胞接着分子1について、全長のもの、ならびにC末端に蛍光タンパク質を融合したものを発現するバキュロウイルスを得た。再構成膜へ組み込むことを前提に、これらの膜タンパク質を搭載したウイルス粒子のTEM観察、ならびに、感染させたSf9細胞における発現を見ることで、機能の評価に進むことができた。また、このウイルス粒子を基板上の脂質支持膜へ融合させることに成功し、これによる神経成長への効果についても検討を開始することができた。一方、マイクロウェルに関しても、自立膜の作製という難しい技術を確立しつつあり、今後への展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、前述した目的を達成するため、2018年度は以下3つの計画を進める。 シナプス関連因子については、引き続き、人工シナプスの形成に関わる機能発現の検証を行う。とくに、前年度までに明らかになってきた、脂質支持膜に対するウィルスの融合特性の結果を考慮することにより、効率的な人工膜への再構成をめざす。そのために、膜の形態観察、膜や膜タンパク質の分子間相互作用の解析を通して、実細胞膜上に発現したシナプス関連因子の示す挙動と比較し、再構成膜の特徴を明らかにする。そして、目標とするシナプス結合の再現につなげていく。 マイクロウェル構造に対する架橋自立膜形成に関してはタンパクの選択的融合を目指す。AFMおよび蛍光顕微鏡観察を通して、基板支持膜やナノ構造体を架橋する自立膜でのベシクル融合過程の理解を進め、バキュロウイルスを用いた膜タンパク質の再構成メカニズムの理解と効率化を目指す。 ピラーにおける神経突起のタンパク発現の検討については、観察条件の最適化をしたうえで、分子レベルでの検討を行う。成長に伴う形態変化の観察は生細胞の取り扱いの困難なことを考えると敢えて注力しないこととする。シナプス機能に関しては、生きた状態の細胞を用いて観察あるいは測定によりシナプス機能計測の基礎技術を確立する。 以上の検討により得られた結果を基にして、神経科学学会、応用物理学会、生物物理学会等の関連する国内外の会議にて発表し、また特許、論文化を進める。
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Research Products
(26 results)