2015 Fiscal Year Annual Research Report
サブ原子層カーボンの媒介による緩和Ge薄膜と量子ドットの選択的形成とデバイス応用
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15H03554
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鷲尾 勝由 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20417017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻庭 政夫 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (30271993)
川島 知之 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40708450)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 結晶成長 / ゲルマニウム / 量子ドット / 機能融合 / 電子デバイス / 光素子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、C(カーボン)を媒介した結晶成長モード制御により、緩和Ge薄膜とGe量子ドットを選択的に混載して形成する技術を確立する。本年度は3年計画の初年度として、C反応制御によるGe量子ドットの高密度化、結晶性向上、成長モード制御を検討した。 C-Si反応による表面再構成を用いたGe量子ドットの形成において、C堆積量をSi表面のc(4×4)再構成に必要な量以上とすることで、Geドット形成時の成長モードが遷移することを見出した。C堆積量>0.5MLでは、成長モードがVWモードからSKモードに遷移し、さらにC堆積量を増加するとC堆積量>2MLで、成長モードが再びVWモードに遷移した。成長モード遷移のうち、VWモードからSKモードに変化する要因は、界面付近の未反応Cの残存とGeドット内でのC-Ge結合の形成による界面エネルギーの低下にあり、さらにはSKモードからVWモードに変化する要因は、過剰なCがGeドット内に編入したことによるバルクエネルギーの減少にあることを示した。 Ge/Cの低温堆積により作製したGe/C/Si積層構造からの熱処理による固相成長を用いたGe量子ドットの形成において、堆積時のGeの結晶化度の影響を検討した。Ge堆積温度を150℃から400℃まで変えることで、堆積時のGe結晶化度はアモルファスから多結晶に変化した。堆積時がアモルファスGeの場合では、Ge量子ドットはVWモード的な成長形態となり、一方、堆積時が多結晶Geの場合では、Ge量子ドットはSKモード的な成長形態となった。成長形態の変化は、Ge結晶化度によるCのGe層内拡散の差異と界面付近でのC-Ge結合密度の相違によると考えている。 これらの結果は、来年度以降に実施するGe量子ドット/Siスペーサ層の積層形成と多積層Ge量子ドットによる発光のための基盤技術であり、これらの知見が十二分に活かせると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りにC反応制御によるGe量子ドットの高密度化と成長モード制御の検討、および成長メカニズムの解明を進め、C-Si反応による表面再構成とGe/C/Si積層構造から固相成長を用いたGe量子ドット形成において、成長モードの遷移を見出し、その成長メカニズムを概ね解明した。さらに、成長形態がSKモードではあるが、Ge量子ドット密度を約8e11/cm2にまで高めた。以上の事から、当初目的としたGe量子ドットの高密度化や成長モード制御において、十分な研究成果を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
C媒介の結晶成長モード制御への影響の明確化と、Ge量子ドットの発光効率向上に向けて、Ge量子ドット/Siスペーサ層の積層形成と、多積層Ge量子ドットによる発光を検討する。Ge量子ドット/Siスペーサ層の積層形成では、C反応制御による転位閉じ込め技術を用いて、Ge量子ドットとSiスペーサ層のペアを積層する。この積層に際して、Siスペーサ層の内部応力の蓄積は、その上部に形成するGe量子ドットに影響する。そこで、「転位閉じ込め」サイクルを複数回繰り返しながら、C原子のGe層内への残留を考慮し、積層へのC被覆率の影響を検討する。多積層Ge量子ドットによる発光では、Geドットの積層化に向けて、Si/Ge界面C析出技術を応用しGeドット表面をC原子が覆うことで応力を局在化し、中間Si層の表面における残留応力を低減する。また、C拡散・Si-C結合の同時進行制御技術で中間Si層の表面応力を調整する。そのために、C被覆量とアニール処理温度によって、C拡散とSi-C結合形成の比率をパラメータとした実験を通じて、C媒介による表面応力の制御を体系化し、Ge量子ドットの発光効率向上を目指す。
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Research Products
(21 results)