2015 Fiscal Year Annual Research Report
超高速・高感度X線イメージング・トモグラフィ法の開発とその応用
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15H03590
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢代 航 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10401233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 幹人 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30222102)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | X線 / イメージング / 位相 / 回折格子 / 高速現象 / トモグラフィ / 放射光 / 非平衡系 |
Outline of Annual Research Achievements |
非平衡系の内部には多くの未知の高速現象が存在すると考えられる。本研究では、我々がこれまで先駆的に開発を進めてきた高感度X線イメージング法の一つであるX線回折格子干渉法をさらに発展させて、1 秒あたり1 Mフレームを超える超高速・高感度X線イメージングおよびミリ秒を超える時間分解能の超高速・高感度4D(空間座標+時間座標)X線トモグラフィの実現を目指す。前人未踏の時間分解能で非平衡系のダイナミクスをその場 観察できるという特色を活かして、ソフトマター科学やバイオミメティクスなどの基礎・応用研究分野において新たなフロンティアを開拓する。本研究で実現を目指す技術は、近い将来に汎用性の高い手法に発展すると予想され、新素材開発やロボット産業など、我が国が世界を牽引する多くの分野への波及効果が期待される。 平成27 年度は、従来型のX線回折格子干渉計と高速カメラを組み合わせて、超高速X線位相イメージングを実現することを目標とした。そのために必要な技術課題の解決や基礎データの収集をオフライン(放射光ビームタイム外)で行った。放射光を用いた実験では、SPring-8のベンディングビームラインであるBL28B2の白色放射光を利用し、従来型のX線回折格子干渉計、新規に購入した可視光用高速カメラ、高感度シンチレータ(GAGG)を利用して、回折格子や試料にほとんどダメージを与えることなく、露光時間1~10μ秒という前人未踏の高時間分解能のX線位相イメージングに成功した。平成28年度に予定している超高速トモグラフィ・4DCTのための高速回転ステージ(30,000 rpm 以上)の設計・試作など要素技術の開発もオフラインで行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高速カメラについては、配分された予算額内で研究全体を遂行するため、当初予定していたスペックを落としたが、この高速カメラとGAGGシンチレータを組み合わせることによって、当初の計画通り1~10μ秒のX線位相イメージングが、SPring-8のベンディングマグネットビームラインで実現できることが確認できた。10 ミリ秒よりも高速なトモグラフィを実現する目処もすでに立っており、オフラインの実験も含めて、概ね計画通りに進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度に開発した高速回転ステージを利用して、SPring-8のビームラインにおいて、高速X線位相トモグラフィ、4DCTを実現することを試みる。SPring-8の2016A期に申請した課題がすでに採択されており、平成28年5月10~12日にSPring-8のベンディングビームラインであるBL28B2の白色放射光を用いて、1~10ミリ秒時間分解能のトモグラフィの実証実験を行う予定である。さらにBL40XUのアンジュレータからの準単色放射光を利用した実験も2016B期に行いたいと考えている。平成28年度は、試料についての選定も進める。本手法が得意とする繰り返しができない非平衡系試料として、昆虫や、材料破壊過程など、撮影に適したものをオフラインで選定する。材料破壊過程については、破壊装置の開発とトリガー制御機構の開発を引き続き続ける。さらに、さらなる高感度化のための光学系(光学素子、構造化シンチレータ)の設計、試作なども行う。
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Research Products
(3 results)