2016 Fiscal Year Annual Research Report
Demonstration of an on-chip electron accelerator aiming at application to the radiobiology research
Project/Area Number |
15H03595
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
小山 和義 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 研究員 (40357041)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上坂 充 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (30232739)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 量子ビーム / 加速器 / 高性能レーザー / フォトニック結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
低線量放射線の生体に対するリスク評価や放射線化学研究などにおいて必須とされる1MeV程度の高エネルギーマイクロビームを試料の狙った位置にピンポイント照射可能な「オンチップ加速器」の要素技術開発を目的に研究を行っている。そのために、利用可能なレーザーの性能の下での加速実証実験に必要な電子源と測定器類の設計と新たな加速構造の検討を行い、応用に関する調査研究を行った。 具体的には、誘電体近傍での電界計算、電子軌道解析を解析的手法及びシミュレーションによって実施して、入射電子のエネルギーが50keVの場合の、誘電体製の回折格子(加速構造体)からの電子入射高さと光に対する入射位相の最適値及び回折格子の寸法を決定した。シミュレーションの結果を基にして、電子銃から測定系までの実験装置の設計・製作をおこなった。また、予定の加速構造では電磁界の不均一性の影響が大きいので、製作可能な範囲で不均一性を小さくする配位を考案し、論文発表した。 亜相対論的領域の加速では、加速勾配の向上に加えて比較的小さなパワーのレーザーでも大きな加速勾配が得られるような工夫が極めて重要である。そのために、共振器構造を持った誘電体加速の可能性のを探るために2種類の構造に関して解析を行い、一定の条件を満たせばファイバー伝送可能なパワーレベルでも大きな加速勾配を発生できることを明らかにした。 低線量放射線の生体に対するリスク評価のみならず、加速器の生物学及び医療への応用に関して調査・整理して、レヴュー論文を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加速実証実験とそれに先立つ誘電体回折格子の光学破壊試験に使用予定であったファイバーレーザー装置(KEK所有)の終段ファイバー増幅器が平成28年11月に損傷を受け、当該部品の入手に4ヶ月以上を要することが判明した。光学破壊試験に着手できず装置設計に大きな支障が出る恐れがあったために、近い実験条件で発表されているデータを基にして実験装置を設計・製作を開始した。その結果、実験の遅れはレーザーの回復までに要した期間の70-80%まで短縮できたと考えている。 高品質な電子ビームを小さなレーザーで高効率に得るための加速構造の研究も同時に行い、進展が見られた。シミュレーションでは、従来の平面基盤に垂直にレーザーを入射するのではなく、基盤上の経路の両側に建てて並べた列柱の横からレーザー入射する配位で、列柱の高誘電率と間隔及び大きさを適当に選ぶことによって、ビーム偏向が少なく可能な入射位相の範囲も大きくできることが分かった。なお、この構造は現在の技術で容易に製作可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験に必要な調整精度は50nmが必要であり、装置の修正が必要になることはあると予想される。平成29年10月までには回折格子の光学破壊試験を行うと共に、電子銃及び入射電子線の特性を評価して、必要精度で実験ができるよう装置の整備を行う。 12月には加速実験を開始する。エネルギー利得と電子ビームの偏向角が予測通りの場合には、年度内に列柱構造及び共振器構造を持った加速構造の試作を行い、次の実験に備える。もし加速実験の結果が予想に反している場合には、その原因(全体の調整精度不足、電子散乱による雑音、加速構造の帯電、エネルギースペクトロメータの性能不足など)を明らかにして、対策を立てて実験を繰り返す。この場合、大幅な手直しがあっても4ヶ月の遅れに留めるよう努力する。
|
Research Products
(15 results)