2017 Fiscal Year Annual Research Report
Demonstration of an on-chip electron accelerator aiming at application to the radiobiology research
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15H03595
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
小山 和義 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 協力研究員 (40357041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上坂 充 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (30232739)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 量子ビーム / 加速器 / 高性能レーザー / フォトニック結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
1MeV程度のエネルギーを持つ電子マイクロビームを発生・照射可能な「オンチップ加速器」の要素技術開発を目的に研究を行っている。 本研究の優先課題は、レーザーパルスによる電子加速の実証と実用化に当たっての必要な課題と解決策を探る事である。本研究においては、非相対論的領域からの電子加速を目指しているので、バイナリーブレーズを持つ誘電体製回折格子の周期は約0.5ミクロン(格子の幅は0.25ミクロン)であり可視光の波長よりも狭い。そのため、サブミクロンの描画が可能な電子ビームリソグラフィー技術を応用して試作した。製作にあたっては物材機構・微細加工プラットフォームを利用した。加速実験の実行には KEKが所有するYbファイバーレーザーを使うが、当該レーザーの出力が小さいためにエネルギー 利得は入射エネルギーが50keVの電子に対して最大で1keVであると予想される。最初の実験では、1枚の回折格子を片側から照射する計画であり、大きな非対称性に起因する電子ビームの偏奇も発生する。そのため、エネルギーと偏奇角度を高分解能で測定する電子スペクトロメータを設計・製作した。また、初期電子のエネルギーは50kVの予定であり、金の薄膜を使った光陰極電子銃と電子集束に用いる小型の四重極電磁石の設計と製作、真空中でサブミクロンでの調整を可能にする微動機構の設計と製作を行い全て完了して仮り組み立てを行った。 一方、光ファイバー出力の小さなパワーのレーザーでも大きな加速勾配の発生を可能にする技術である共振器構造を持つ構造の解析も進めた。共振器はファブリーペロー方であるが、一つは通常の誘電体多層膜とその外側に配置した誘電体製回折格子から成るものであり。もう一つはレーザー波長以下の光子定数を持つ回折格子が一定条件下でこう反射率を示すことを利用した構造である。これらの成果は国際会議と学会誌において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験装置の仮組み立てを行うまでに至ったことは予定通りであるが、借用予定のレーザーの性能が不十分であった。しかし、レーザーの不調の原因が判明し対策を立てることができたので、実験計画に大きな遅れは出たものの実験可能な段階になった。また、光ファイバー出力の小さなパワーのレーザーでの加速を可能にするために必要な共振器構造を持つ加速構造の解析を進めたが、必ずしも満足のゆく結果が出ていない。しかし、今後の方策に目処が立った。これらを総合的に判断して、概ね順調であると結論した。
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Strategy for Future Research Activity |
加速実証実験を行い理論的予測と比較して誘電体加速に関する理解を深める。また、オンチップ加速器設計の指針を得る。小型化のために光ファイバーでの伝送を可能にする比較的低出力のレーザーを使った構造の解析を進める。これらの結果を総合してオンチップレーザー誘電体加速器の設計指針を示し、将来の実用化研究に備える。
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Research Products
(14 results)