2016 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導高周波加速を用いた小型超高圧電子顕微鏡の原理実証
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15H03596
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
古屋 貴章 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 特別教授 (70156975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 将博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (00377962)
金 秀光 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 特別助教 (20594055)
道園 真一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (80249903)
榎本 收志 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 特別教授 (90150010)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超高圧電子顕微鏡 / 光陰極電子銃 / 高周波加速 / 超伝導高周波空洞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は超伝導加速空洞を用いて60kVの入射電子を300kVに加速し、透過型電子顕微鏡の電子源とすることにより、コンパクトな超高圧電子顕微鏡の実現可能性を検証するものである。光陰極による短パルスのビームバンチを、同一の超伝導空洞に励起した2つのCWモードを重ねることにより実現するフラットな尖塔電圧で加速することにより、高周波加速の弱点であるエネルギー分散を抑えることを目的としている。しかし電子速度β(=v/c)が0.446から0.777へ変化するため、昨年度に引き続き、電子速度が変化する課程での高周波電場の種々のエラーが分散に与える効果をシミュレートし、中間報告にまとめた。空洞本体についてはモデル空洞の計測結果を反映したニオブ部品を製作し、電子ビーム溶接を用いて半割り形状まで溶接した上で電解研磨による表面処理を実施した。また高周波の制御精度を向上するため、アナログ方式に変わるデジタル方式のLLRFシステムを構築してその精度を計測した。一方、電子銃については活性層であるGaAsとの格子整合度が良く高品質の結晶成長が期待されるZnSe基板を用いた新しい裏面照射型フォトカソードを導入し、GaAsフォトカソードによる電子ビームの生成および高量子効率を確認した。また改造した電子銃部と顕微鏡部との接続のための真空排気系の設計を行い、その部品を調達した。さらに超伝導空洞と加速ビームの影響を見るため、cERLやSuperKEKBの超伝導空洞の動作を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子銃については、既存電子顕微鏡へのセットするための真空系の準備を始めた。超伝導空洞本体については、部品加工を終え溶接工程へ進んでいるが、電子ビーム溶接機の不調により待機を余儀なくされた。現在はハーフセルの作成まで完了し、最終の赤道部溶接を残すのみとなっている。クライオスタットについては基本構造の設計がほぼ完了しており、今年度は部品の製作と組み立てを順次進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
空洞本体については、最終溶接を終えたら直ちに最終表面処理・低温性能計測を行い、空洞の周波数と電圧を確認する。クライオスタットはベローズなどの部品製作を進め、順次組み立てを始める。さらに全体を載せる架台を製作してそれに電子銃と空洞を組み込む作業を進める。
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Research Products
(2 results)