2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03607
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤原 一宏 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (00229064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 文元 東京工業大学, 理学院, 教授 (50294880)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リジッド幾何学 / パーフェクトイド / 非アルキメデス的バナッハ環 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は基礎とする空間の候補として UAP 空間という概念を定義し研究を行った. 今年度当初はそれを継続発展させることを想定していたが, 現在の代数幾何学や数論幾何学の状況を踏まえると対象として P. Scholze が導入したパーフェクトイド空間まで含める必要を感じ, リジッド空間と Berkovich 解析空間との関係について再度考察した. 特に, M. Temkin による先行研究を発展させ, 非アルキメデス的可換バナッハ環のスペクトル理論がフィルトレーション付きの環のスペクトル理論として構成できることを見出した. バナッハ環の場合には結果的に K.S. Kedlaya が発見していた reified valuation の空間と同じものになることも分かったが, この枠組みで新たに分かったことも多い. 特に位相的性質の研究に関して強力な手法を与えており, Berkovich 空間の Gerritzen-Grauert 型の定理 (これ自身は既に Temkinや Ducros により示されている) の簡単な証明が得られる. さらにこの枠組みはパーフェクトイド空間にも適用可能である点も重要だと考えている. 特にパーフェクトイド空間の位相的性質の研究には必須である.
この研究は``Foundations of rigid geometry I", arXiv:1308.4734 の最新バージョン (v5) の Appendix C p.633-701 として公表している. 新たな研究成果であるが, 加藤文元との共著の research monograph の一部として, 既にアナウンスしている結果に追加する形での正式な公表を準備している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はリジッド幾何学の基礎付けを提供することを目的にしているが, 現在の数論幾何学の最先端で必要とされるニーズ, 国際的な流れに合わせる必要も感じており, 状況の変化に応じた要素を積極的に取り入れている. 具体的には, 今年度はパーフェクトイド空間の理論への対応を行っている. そのため当初想定していた問題以外にも取り組む必要が生じており, 対象が拡大した結果として若干の遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では具体的な応用を念頭に置きつつ基礎付けを行うことを目標としている. 特に非ネーター的な空間まで含めた取り扱いに力を注いできたが, その方向性の正しさは昨年度のパーフェクトイド空間を使った可換環論でのホモロジカル予想の解決など, 目覚ましい結果に結びついている. 対象の拡大は国際的な流れとも一致するものであるので, それを受け入れつつもテーマが発散しないように心がけたい. そのための方策として, 当面今までの成果を生かし, より具体的な応用を意識して研究を進めていきたい.
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Research Products
(2 results)