2018 Fiscal Year Annual Research Report
数論的基本群に関する数論幾何学の諸問題とその相互関係
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15H03609
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉川 安騎男 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (00243105)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 代数曲線 / 被覆 / 基本群 / ガロア表現 / アーベル多様体 / 正標数 / 国際研究者交流 / 米国:英国:仏国:台湾:中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画に記載の通り、海外研究協力者のAnna Cadoret氏(6月~9月)、Mohamed Saidi氏(6月~9月)、Christopher Rasmussen氏(7月および3月)、Chun Yin Hui氏(7月)の来訪を実現でき、 代数曲線の被覆と基本群に関する数論幾何学について、研究の目的を十分に果たすことができた。また、本補助金使用により、Romyar Sharifi氏(5月)、Chia-Fu Yu氏(2月)の招へい、および研究代表者の東京出張(4月および9月)、香川出張(10月)などを実現し、整数論・数論幾何における有意義な情報収集・研究討論・成果発表を集中的に進めることができた。具体的な研究実績としては、次のような成果をあげることができた。
1. Rasmussen氏との共同研究では、「研究の目的」Aに関して、射影曲線のl冪次巡回被覆のヤコビ多様体のl冪ねじれ点に関するAnderson・伊原の結果を一般化する結果を改良した。また、有限性定理の局所的アプローチにおけるある整除性条件を改良した。 2. Cadoret氏との共同研究では、「研究の目的」Bに関連して、新しいタイプのBertiniの定理(almost tame版)を証明した。また、Cadoret氏とHui氏との共同研究では、「研究の目的」B、Cに関して、Grothendieck-Serre/Tate予想のl進版と法l版の比較に関する結果、l進表現系の整半単純性に関する結果、超積係数のモノドロミーに関する結果、などを改良した。 3. Saidi氏との共同研究では、「研究の目的」Dに関して、代数体の遠アーベル幾何においてガロア群を長さm最大可解商に置き換えた版に関する結果を一般化し、有限生成体に対する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3名(4名)の海外研究協力者との3つの共同研究を順調に進展させることができ、懸案だった成果の整理・発表(論文の執筆・投稿・修正・再投稿・出版・口頭発表)も進んだ。
「研究の目的」Aに関して射影曲線のl冪次巡回被覆のヤコビ多様体のl冪ねじれ点に関するAnderson・伊原の結果の一般化の改良や有限性定理の局所的アプローチにおける整除性条件の改良を得たこと、「研究の目的」B、Cに関してalmost tame版のBertini定理を証明したこと、Grothendieck-Serre/Tate予想のl進版と法l版の比較に関する結果、l進表現系の整半単純性に関する結果、超積係数のモノドロミーに関する結果の改良を得たこと、「研究の目的」Dに関して有限生成体の長さm最大可解版遠アーベル幾何に関する結果を得たこと、いずれも大きな収穫であった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画はおおむね順調に進展しており、基本的にはこのまま進めていけばよいと考えている。研究目的に沿って新しい研究結果を得ることはもちろん、本補助金最終年度である次年度は、成果の整理・発表についても引き続き大きな力を入れたい。本研究計画は3名(4名)の海外研究協力者との3つの共同研究を中核としているが、今後も3つの共同研究のバランスに留意するとともに、3つの共同研究のいずれも、もとより数論的基本群を中心的対象とするものであることに立ち返り、諸問題の相互作用をいかすという視点に立って、研究を推進していきたいと考えている。
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Research Products
(10 results)