2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H03611
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小木曽 啓示 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (40224133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 俊輔 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (40380670)
權業 善範 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (70634210)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自己同型群 / エントロピー |
Outline of Annual Research Achievements |
Igor Dolgachev教授の質問に答える形で、K3曲面とその自己同型の対で、条件「その自己同型が正のエントロピーを持ち、K3曲面上のある滑らかな有理曲線に自明に作用する。」をみたすものを、射影的な場合、 非射影的な場合にそれぞれについて構成した。また、応用として、同様な性質を持つ、Coble型でない有理曲面とその自己同型対の例も構成した。
Tien-Cuong Dinh教授との共同研究で、滑らかな複素射影多様体で、その全自己同型群は群として離散的だが有限生成ではなく、更にその実形式が無限個あるものの存在を、2以上の任意次元において示した。この結果は、John Lesieutre博士の結果(6次元の場合の存在)に示唆されたものであり、その最終的といってよい形での一般化である。最大の鍵は2次元の場合の構成であるが、これは、John Lesieutre博士、Igor Dolgachev教授、H\'el\`ene Esnault教授からの質問への肯定的解答であるとともに、Igor Dolgachev教授によれば永らく未解決であった問題に対する否定的解答であり、誇ってよい結果であるとのことである。
Thomas Peternell教授と複素4次元射影多様体の位相的分類に関する共同研究を行った。まず、4次元Fano多様体とRicci-flatな4次元多様体との間の向きを保つ位相同型の非存在、4次元以上の任意次元のCalabi-Yau多様体とコンパクト超ケーラー多様体の間の向きを保つ位相同型の非存在を示した。また、4次元射影的超ケーラー多様体の基本的な例である射影K3曲面の長さ2のclosed subschemesのなすHilbert schemeに対し、向きを保つ位相同型をもつ滑らかな射影多様体の粗分類定理をexioticな複素構造の存在とともに確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度行うことができたどちらの仕事も、当該研究分野における大家である、Igor Dolgachev教授から極めて高く評価されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画で残っている最大の課題である、エンリケス曲面の自己同型のエントロピー問題、特に正の最小値問題を十分に考察したい。Xun Yu氏との共同研究の形で進め、 その集中的な議論のため、当該科研費を用いて7月に日本に招聘することがきまっている。また、Dinh氏との共同研究は大成功であったが、更なる共同研究、特に高次元でエントロピーが零である自己同型は、Cantat氏のICM2018招待講演レポートでも大きくとりあげられているが、主にその周辺を探りたい。
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Research Products
(8 results)