2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03613
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
落合 啓之 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (90214163)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リー群 / 表現論 / 特殊関数 / 超幾何関数 / 特殊値 / 制限 / Witten ゼータ / 微分作用素 |
Outline of Annual Research Achievements |
表現論における諸問題を特殊関数の立場から統合しそれを扱う枠組みを構築することを目標とし、特殊関数論を基盤的研究と応用との両側面から包括的に見直し、表現論やその他の分野へ活用することを目的とした研究である。 まず、表現の実現と制限に関する研究においては、小林俊行、久保利久、Pevzner のRankin-Cohen括弧に関する研究と代表者が伊吹山知義、葛巻孝子と行った保形形式に作用する微分作用素の研究を結びつける作業に着手し、理論的な面に関して成果を得た。前者は1変数、後者は多変数であり、その点では後者が一般的であるが、表現の制限に関する枠組みにおいては前者が広く、双方の拡張としての意味を見いだすことができる。次年度以降は、双方で得られている特殊関数としての具体的な式の間にも有効な関係性や拡張性を発見することが主要な課題となることをはっきりさせることができた。 また、別の起源を持つ問題として、CGにおける光と色を計算するレンダリング方程式に現れる積分計算が高速化されることが望まれているのであるが、その積分に現れる漸化式構造を母関数と特殊関数を使って統合的に理解し、明示公式を与えたり打ち切り誤差を精密化することで高速化することを企図している。現在、エッジにあたる係数の母関数構造として従来知られていない新しいものを見つけることができた。これをてこにして、コアにあたる部分の係数構造を解析することが次年度以降の課題である。 その他に、ユニタリ双対の構造に依拠したWittenゼータ関数の研究を黒川信重と行い、表現の次元だけでなく指標の情報を取り込んだ関数に対して、解析接続や関数等式などの特殊関数的な性質を調べた。応用として特殊値に関しても面白い数が現れることが現象として発見できてきている。これも端緒についたところであり、発展中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の課題に関して、予定通りに研究成果を得ている。また、成果を挙げつつ、次年度以降の課題が研究の進展と深化に伴って明らかになって来ており、次年度以降も順調に研究を推進できる基盤が整っていると判断できる。資金運用に関しても、上記の成果を得るための研究集会に活用するなど、合理的な支出を行っていると判断でき、次年度以降も継続した資金活用をさせていただくことで、有効な利用ができると考えられる。以上を総合的に自己評価することで、(2)おおむね順調に進展している、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更はなく、問題点も見当たらない。 本研究を集中的に勧めるために必要となるスペースを学内に確保して、その場所を活用して、本研究に関する打ち合わせ、セミナー、資料の活用と整理、および、研究本体を行う。幸い、所属するウエスト1号館のE棟にプロジェクトスペースを借りることができるため、その部屋の賃貸料として、本研究費の一部を次年度から活用する。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] CG映像制作の数理2015
Author(s)
落合啓之
Organizer
日本数学会秋季総合分科会・応用数学分科会特別講演
Place of Presentation
京都産業大学
Year and Date
2015-09-14 – 2015-09-14
Invited
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