2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03614
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
桂 利行 法政大学, 理工学部, 教授 (40108444)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Enriques曲面 / 正標数 / K3曲面 / 代数多様体 / 標準因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
連携研究者金銅誠之教授との共同研究で、Enriques曲面に関する研究が中心になった。標数2では、 supersingularおよびsingular Enriques曲面の標準因子は自明であり、特有の現象が起こる。自己同形群が有限の場合、標数0の時は、金銅教授によって、Enriques曲面はnodal curvesの構造からI型~VII型の7種類に分類できることが示されていた。本年度は、標数2の時には、I型、II型、VI型はsingular Enriques曲面が存在し、VII型はclassicalおよびsupersingular Enriques曲面が存在すること、その他の場合はこれら7つの型には存在しないことを示した。さらに、VII型Enriques曲面の1次元familyを構成した。自己同形群が無限群の場合として、I_3 typeの特異ファイバーが4本存在する楕円曲面の構造を持つEnriques曲面のfamilyを構成した。これはモジュライ空間の1次元サイクルを与える。また、このEnriques曲面には30本のnodal curvesが存在し、それらが15本ずつに分かれて、Sylvesterのduadsとsynthemesの幾何学的実現になっていることを示した。それぞれの場合を、A 1-dimensional family of Enriques surfaces in characteristic 2 covered by the supersingular K3 surface with Artin invariant 1、およびOn Enriques surfaces in characteristic 2 with a finite group of automorphismsという論文にまとめ、金銅教授との共著として海外の雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究の初年度であるから、研究集会、国際会議に積極的に参加し、発表されている文献を分析して情報を収集することから始めるつもりだったが、標数2のEnriques曲面の構造解析が予想以上に順調に進み、2篇の論文を完成させることができ、これらの結果を国際会議で発表できた。さらに、年度の終わりになって、Enriques曲面のK3-like coveringの構造分析の研究を、金銅、Schroeerとの共同研究としてスタートさせることができ、いくつかの興味深い視点が見つかり、H28年度につながる成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
標準因子が自明な代数多様体を研究対象として研究を進める。H28年度は、まず、標数2のEnriques曲面のK3-like coveringの構造を金銅誠之教授およびS. Schroeerとの共同研究で明らかにすることを目標とする。H27年度は、自己同形群が有限の場合に、標数0の場合のEnriques曲面の分類との類似として、どの型のものが標数2で存在するかを明らかにしたが、H28年度は、連携研究者金銅教授との共同研究として、標数0では存在し得ないが標数2では存在するようなEnriques曲面に焦点を当て、この方面を切り開くことを目指す。また、海外共同研究者M. Schuett教授とはZariski K3曲面の研究を行い、K3曲面でZariski的なものの例を構成し、最終的には特徴付けることを目指す。 連携研究者および海外研究協力者とは主にe-mailによる情報の交換、討論を行って共同研究を進めるが、詳細な討論が必要な段階では、相手を訪問、あるいは招聘して研究連絡を行う。Schuett教授またはG. van der Geer教授を日本での国際研究集会を開催する際に招聘の予定で、研究に協力していただく。Schroeer教授は6月に京都大学に来日予定であり、その際京都を訪問して、共同研究を行うことを計画している。 4月末にはドイツのOberwolfach研究所で研究集会があり、そこで研究成果の公表と海外研究協力者van der Geer教授との情報交換を予定している。8月末にオランダ、H29年3月にカナダ、韓国で行われる国際会議に出席し、研究成果発表あるいは情報収集を行い、研究を推進していく。
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Research Products
(3 results)