2018 Fiscal Year Annual Research Report
Symmetries of operator algebras and subfactors
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15H03623
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
泉 正己 京都大学, 理学研究科, 教授 (80232362)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フュージョン圏 / 部分因子環 / 作用素環 / 群作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの一般化 Haagerup 圏に関する Pinhas Grossman との共同研究に基づき、多くの例に対して一般化 Haagerup 圏の Drinfeld 中心の計算をおこなった。これらと near-group 圏の場合の Evans-Gannon の予想を統合する一般的な公式を発見し、モジュラーテンソル圏のモジュラーデータの満たすべき代数的性質を満たすユニタリ行列の組 (S,T) の5つの無限系列を得た。有限可換群とその非退化2次形式、さらに非退化2次形式を保つ位数2の自己同型の三つ組みを involutive metric group と呼ぶとすると、これらの無限系列は2つの involutive metric group の組である条件をみたすものから構成される。それぞれの系列の中で最も小さなものは、2次圏の Drinfeld 中心により実現されることが分かっている。一方、それら以外の大半のものは実際にモジュラーテンソル圏により実現されるかどうかが不明であり、この5つの系列の構成が今後多くの研究を触発すると予想される。実際研究代表者が2018年10月に Banff でこの結果について口頭発表を行った後、多くの専門家から問い合わせがあり、新たな研究が触発されている。例えば Eric Rowell 達の研究に現れる zesting という操作で上述の系列が閉じていることがあきらかになった。この結果は現在2つの論文として発表準備中である。
松井宏樹との共同研究で poly-Z群の Kirchberg 環への作用の研究を行った。この十年来の研究は最終局面を迎えており、多くの新たな結果が得られた。例えば Cuntz 環への可換自由群の作用の完全分類が完成した。この結果は3つの論文として発表準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2次圏の Drinfeld 中心のモジュラーデータを統一的にに記述すると予想される5つの無限系列の存在は、この研究を始めたときには全く予想していなかったものであり、さらにそれらが2つの involutive metric group の組という簡単が代数的データで決定されるという主張は多くの研究者に新鮮な驚きを与えた。これまでモジュラーテンソル圏の例として知られていたものは、実質的に(1)共形場理論からえられるもの、(2)有限群の Drinfeld 中心からえられるもの、の2つしかなく、専門家は新たな例を切望していた。本研究はそれにこたえる可能性を持っており、当初以上に研究が進展したと言ってもよい。
poly-Z群の Kirchberg 環への作用の分類の研究で、当初我々は群作用の不変量を記述する位相的な不変量を得ることを目標としていた。本研究では、群作用の同値類とある種の主束の同型類の間に一対一の関係があるという結果がえられた。これにより、Kirchberg 環の連続場より群作用を構成するという当初の予想外の結果が得られた。これにより、Cuntz 環やその安定化への poly-Z群の作用の分類への理解が飛躍的に進んでおり、当初以上に研究が進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2次圏の Drinfeld 中心のモジュラーデータに関する我々の研究は、多くの専門家の注目を集めており、一刻も早く論文として発表する必要がる。大部の論文になることが予想されるため、速やかに執筆作業を行いたい。この研究の中で、これまで未知の2次圏の Drinfeld 中心に対応すると考えられるモジュラーデータがいくつもあり、それらに関する予想が得られた。今後これらの予想を確かめることが研究の中心となる。我々がこれまでに使ってきた Cuntz 環による方法や、接合積による Cuntz 環の拡大を使う方法により、チューブ代数の計算が可能となり予想が解決される思われる。一方これまでの経験から、複数ある予想の各々が、解決のために多くの計算量を必要とすると予想されるで、今後 Grossman とともに多くの若い研究者と共同で研究を進めるのが望ましい。
我々の poly-Z 群の Kirchberg 環への作用の分類の研究は、C*環への群作用の研究に多くの新たなアイデアと技術を導入するものであり、他の研究者の注目度も高いため、一刻も早く論文として発表する必要がる。大部の論文になることが予想されるため、速やかに執筆作業を行いたい。本研究では技術上の制約から poly-Z 群のみを扱ったが、位相幾何的観点からは torsion-free poly-cyclic 群に対しても同じ結果が成り立つことが予想される。最初のテストケースがあらわれるのは、Hirsch lenngth 3の場合である。この場合を扱うには、これまでの帰納的な議論が使えず、幾何学的議論により直接適切なタイリングを構成することが必要になり、面白い問題となる。
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Research Products
(7 results)