2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03626
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野海 正俊 神戸大学, 理学研究科, 教授 (80164672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 泰彦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (00202383)
太田 泰広 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10213745)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 楕円可積分系 / 楕円超幾何函数 / 楕円 Painleve 方程式 / Ruijsenaars 差分作用素 |
Outline of Annual Research Achievements |
(a) 楕円超幾何函数の差分 de Rham 理論:昨年度に引き続き, 伊藤(東京電機大学)との共同で,楕円超幾何積分の差分 de Rham 理論的研究を推進した.特に今年度は,BC 型で一般の楕円超幾何積分を対象として,Lagrange 型補間テータ函数を用いてコサイクル基底を構成し,その枠組みで差分方程式系の記述,解の基本系の構成,解の基本行列の行列式の明示公式の導出を行った.また,楕円補間函数を BC 型及び A 型の q 超幾何積分の接続問題に応用して,Sears-Slater 変換公式の多重 q 超幾何級数への拡張を得た. (b) 楕円差分 Panleve 系の研究:E8型対称性をもつ楕円差分 Painleve 方程式に対して,E8格子に付随するタウ函数の枠組みを定式化し,楕円超幾何積分で表される特殊解の構成を行った.また,山田は Lax 形式に基づく q 差分 Garnier 系の研究を発展させ,従来の q KP 階層に由来する梶原・野海・山田の (m,n) 型 q Painleve 系との関連を明らかにした.それを受けて山田の Lax 形式の方法による楕円 Gernier 系の研究を開始した. (c) Ruijsenaars 系に係わる特殊函数:小森(立教大学)・増田(神戸大学)との共同研究として,BC1型 Ruijsenaars 作用素の核関係式(小森・野海・白石 2009)を基礎とした多重楕円超幾何級数の構成を行い,新しい双対変換公式と和公式を得た.また,今野(東京海洋大学),白石(東京大学)と共同で,楕円量子群及び Ding-Iohara 代数の表現論に由来する分配函数の研究を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(a) で構成した BC 型楕円超幾何積分に付随する行列式公式は, 楕円超幾何積分についての最重要な成果の一つであり, この点においては当初の計画以上の進展であった.(b), (c) についても, 問題の本質が可成り明確に認識できるようになったので,当該研究課題は, 全体として順調に進展していると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の研究を発展させ (a) については, A 型の楕円超幾何積分の差分 de Rham 理論的研究を深化させ, (b) については楕円 Garnier 系に対するタウ函数の理論的構成を目指し, (c) については A 型 Ruijsenaars 作用素の固有函数の構成の問題に本格的に取り組む予定である.
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Research Products
(11 results)