2016 Fiscal Year Annual Research Report
フレームレットを用いた視覚の数理解析的研究とその画像処理への応用
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15H03629
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 仁之 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (10175953)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フレームレット / 錯視 / 画像処理 / 画像鮮鋭化 / ディジタルフィルタ / かざぐるまフレームレット |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な研究実績の一つは次のものである。研究代表者である新井仁之と新井しのぶ(以下新井と略記)がすでに考案したかざぐるまフレームレットを用いて、脳内の視覚情報処理の数理モデルを作ったが、本研究では本年度、これを用いた動画像鮮鋭化処理を行うことに成功した。これは人の視覚に優しい動画像鮮鋭化であるといえる。 もう一つの成果はかざぐるまフレームレットを用いて、新しいエッジに起因する錯視の生成方法を用いた画像処理技術を発明したこである。人の視覚においてエッジがその周囲の明暗や色に広範囲に渡って多大な影響を及ぼす錯視がある。古典的なものではクレイク・オブライエン・コーンスィート錯視と呼ばれるもの、あるいは高島翠氏による墨絵効果、色に関するB. Pinna氏らによる水彩錯視などがある。新井はこれらとは異なる新しいタイプのエッジを考案し、複雑なデザインでも非常に良い明暗に関する錯視効果を出すことが可能であることを発見していたが、さらにそれが画像の鮮鋭化にも応用できることを見いだし、これによる画像鮮鋭化方法を作った。新井は以前に全く別の方法で画像の鮮鋭化を発明したが、今回のものは鮮鋭化の特性は異なる。さらに今回のものはかざぐるまフレームレットによるフィルタ理論を使って作成したフィルタを用いたものであり、計算が軽くなるというメリットがある。なお本技術は他のこれまでの成果と併せて特許を出願した。この研究成果の今後の展開としては、この鮮鋭化の特性のより詳細な分析と、動画像処理への応用を考えていくことである。 本年度のもう一つの研究として、以上のほかには、かざぐるまフレームレットによるフィルタリングを用いた錯視量の大きい浮遊錯視画像作品の作成も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の新井仁之らが発見した新しいエッジに起因する錯視を用いた画像精鋭化技術を発明したことは、当初の計画以上の成果であった。また本年度得られたような動画像処理に関する成果は計画以上に進展したものであった。
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Strategy for Future Research Activity |
動画像処理に関してさらに研究を進める。またその数学理論もより一般化した形で研究していく。新しいタイプのエッジに起因する錯視を用いた画像処理について、さらに研究を進め、動画像処理への応用について研究していく。このほかフィルタ設計については、これまでの研究成果に基づき、さらに実用的な形に洗練していきたい。これ以外にはソフトの作成も進めていきたい。
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Research Products
(6 results)