2017 Fiscal Year Annual Research Report
変分汎関数の高次情報が拓く楕円型偏微分方程式の解の大域的・幾何学的構造
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15H03631
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高橋 太 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (10374901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 信 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10243354)
壁谷 喜継 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70252757)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 安定解 / 有限モース指数解 / Hardy 不等式 / Trudinge-Moser 不等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、研究代表者・高橋は、所属する大阪市立大学で、第5回 Italy-Japan Workshop on Geometric Property for Parabolic and Elliptic PDE's を一週間にわたって主催し、本研究課題で先行するイタリアのグループをはじめ、フランス・韓国などの研究者と研究交流の機会を得た。この研究集会主宰を契機として、イタリア・ナポリ大学の A. Mercaldo 教授、V. Ferone 教授を中核とするナポリ大学グループと研究交流を深め、2017年9月にナポリ大学を訪問した際に、一般の Finsler ノルムを含んだ形の Hardy 不等式及び Hardy-Kato 不等式の共同研究を開始し、既にいくつかの結果を得た。現在、これらの結果を投稿論文の形にするべく改定作業中である。また、ナポリ・パルテノープ大学から Filomena Feo 講師を大阪市立大学に招聘し、monomial 重み付き等周不等式を用いた対数ソボレフ不等式及びナッシュの不等式の研究に着手し、現在も Feo 氏との国際共同研究が進行中である。平成29年度に高橋は2本の原著論文を刊行し、さらに国際共同研究を含む3本の原著論文が既に出版受理されて専門誌への掲載を待っているところである。また高橋は、2017年6月に CIME サマースクールに指導する博士課程学生とともに参加し、本研究課題の世界的権威である X. Cabre 教授、W. Reichel 教授等と親交を温めた。さらに9月にブラジリアでの WNPDE セミナーに参加し、本研究課題の主要なテーマである分数べき Trudinger-Moser 不等式についての研究発表を行い、また11月に Firenze で行われた研究集会にも参加し、イタリアグループと研究交流を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の主要なテーマの一つである Hardy 不等式の定性的性質について、現在、いくつかの国際共同研究を主導中であり、特にその最良定数の達成可能性についての Jaeyoung Byeon 教授 (KAIST) との共同研究は、既に論文となって投稿され専門誌において査読中である。Hardy 不等式に関して新しく得られた知見の、偏微分方程式の安定解への応用は今後の課題であるが、Gauss 型重み関数を持つ場合の臨界 Hardy 不等式及びその Kolmogorov 方程式への応用、特に解の瞬間爆発とスペクトルの底との関係については結果を得ることに成功し、まとめられた論文は出版が予定されている。この他に「研究実績の概要」でも述べたように、3本の論文が出版受理済みであり、1本を投稿中である。現在、同時進行中の国際共同研究については最終的な結果を得るまでにもう少し時間がかかることが予想されるが、いずれも活発に研究連絡を行っており、研究活動の進捗状況は順調と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を推進する過程で、Hardy 項を持つ放物型方程式の瞬間爆発の研究に関連して、放物型・楕円型双方の最新技法に明るい研究分担者の必要性が生じ、新たに川上竜樹・龍谷大学准教授に研究分担者として研究計画に参画してもらう予定である(交付申請済み)。また、ナポリ大学グループとの国際共同研究の成果を専門誌に発表すべく論文に纏める作業があるが、本年度前半はこの論文執筆作業に費やされることになる。平成30年度は本研究課題の最終年度にあたるが、今までに得られた研究実績を、AMS special meetings, 12th AIMS, UK-Japan, サンクトペテルブルグの Euler 研究所での国際研究集会等、内外の研究セミナー・国際学会で発表する予定があり、本研究課題以降の新たな研究課題の発掘に努めていく。これと並行して新たに博士学生と勉強し始めたベクトル場に対する Hardy 不等式の研究も推進する予定である。
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Research Products
(16 results)