2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of photon-counting system for imaging-spectroscopic observation of solar corona in soft X-rays
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15H03647
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| Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
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Principal Investigator |
成影 典之 国立天文台, SOLAR-C準備室, 助教 (50435806)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 光子計測 / X線 / 太陽物理学 / 裏面照射型CMOS検出器 / 高速撮像 / 高速データ処理 / FOXSI-3ロケット実験 / 太陽コロナ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
太陽コロナはダイナミックに活動する多様なプラズマで満たされており、未解明である諸現象（リコネクションに関連するショック構造、粒子加速、コロナ加熱など）の物理を解明するためには、プラズマの空間構造、時間変化、エネルギー分布を同時に測定する必要がある。だが、これまでの紫外線・軟Ｘ線波長域でのコロナ観測では、これらを同時に実現することが困難であった。しかし、近年の技術発展により、太陽軟Ｘ線の光子１個が検出器に入射するレートよりも速く連続的に撮像することが可能となりつつある。これにより、太陽軟Ｘ線の光子１個１個の持つエネルギーを、位置情報・時間情報とともに取得すること、つまり３つの情報の同時取得に道筋が見えてきた。そこで本研究では、１秒間に1,000回の高速連続撮像を行う「軟X線用の高速度CMOSカメラ」と「高速データ処理を行う専用モジュール」を開発し、太陽コロナから放射される軟Ｘ線光子（0.5～10keV）のエネルギーを１光子毎に計測する光子計測型・撮像分光・軟Ｘ線望遠鏡の為の「光子計測システム」の実現を目指している。
平成２７年度は、高速度カメラに用いる裏面照射型CMOSセンサーの選定と評価を完了した。
本年度（平成２８年度）は、本研究で開発を進めている「軟Ｘ線・光子計測システム」の、観測ロケット実験 FOXSI-3（平成３０年夏の打ち上げ）への搭載が正式に決まるという極めて大きな進捗があった。これを受け、本年度は、FOXSI-3 に搭載する光子計測システムのスペックを決定し、システムのデザインを開始した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究立案当初の方針では、①平成２７年度、裏面照射型CMOSセンサーを搭載した市販カメラを購入し、性能評価を実施。②平成２８年度、この市販カメラを宇宙用に改造し、ロケット実験用のプロトタイプカメラに仕上げる。③平成２９年度、カメラと高速データ処理モジュールを組み合わせ、軟Ｘ線光子計測システムを完成させる、という計画であった。しかし、研究実績の概要で述べた様に、本年度、観測ロケット FOXSI-3 （平成３０年夏の打ち上げ予定）への搭載が決定した。これは極めて貴重な機会であり、当初計画を大幅に上回る早さで太陽コロナ観測が実現できることとなった。そこで、次の様に方針を変更した。
新しい方針では、②平成２８年度（本年度）、ロケット実験用のプロトタイプカメラを完成させる。③平成２９年度、軟Ｘ線光子計測システムのロケット実験用フライト品を完成させる、④本研究期間終了後の平成３０年度、ロケット実験を実施する、とした。
これを受け、本年度は、FOXSIに搭載する光子計測システムのスペックを決定し、システムのデザインを開始した。合わせて、フライト品CMOSセンサーも入手し、その感度評価も行った。しかし、光子計測システムにおけるデータ保存方式において、当初計画していた FPGA によるメモリへのデータ保存という方式の実現が容易ではない事が判明し、方式を System-on-Chip を用いてのメモリへのデータ保存方式へと変更した。この変更によって、平成２８年度中に完成予定であったプロトタイプカメラは、平成２９年度前半に完成した。ただし、全体計画へのインパクトは軽微であった。計画全体をみると、ロケット実験の実現が大幅に早まったことを受け、当初の計画以上に進展していると考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、平成２９年度末までに太陽軟Ｘ線光子計測システムを完成させることを目的としている。そしてその将来展開として、本研究で開発するシステムを観測ロケットに搭載し、世界初となる太陽軟Ｘ線光子計測の実証実験を行うことを目指している。本研究課題の立案当初、本研究で開発したシステムを搭載する具体的なロケット計画は存在していなかった。しかし、平成２８年度、観測ロケット実験 FOXSI-3 に搭載できることとなった。FOXSI-3 は、太陽からの硬Ｘ線を観測する、日米国際協力で推進している観測ロケット実験で、平成３０年夏の打ち上げが NASA に承認されている。
この FOXSI-3 ロケット実験への参加は、太陽軟Ｘ線光子計測の技術的実証と科学的意義を証明する最良の機会であり、我々は本実験に参加すべく開発を加速している。具体的には、平成２８年度予算で開発した、軟Ｘ線光子計測システムのプロトタイプを発展させ、平成２９年度に FOXSI-3 搭載用フライトモデルを製作することを計画している。ここまでが本研究課題の期間中（平成２９年度末まで）の目標・目的である。
本研究の将来展開としては、平成３０年度に、前述の FOXSI-3 ロケット計画への搭載を果たし、世界初の太陽軟Ｘ線光子計測を実施することで、太陽軟Ｘ線光子計測の技術的実証と科学的意義を証明する。しかし、観測ロケットを用いた観測では観測時間が約５分と非常に限られており、フレアをはじめとする太陽の諸現象をくまなく観測することは不可能である。そこで、ロケット実験を踏まえて、衛星計画へと発展させ、定常的な太陽軟Ｘ線の光子計測型・撮像分光観測を実現し、太陽コロナにおける未解明な諸現象の物理を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(7 results)
