2016 Fiscal Year Annual Research Report
格子QCDによる K中間子崩壊の直接的CP非保存パラメータの決定
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15H03650
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石塚 成人 筑波大学, 計算科学研究センター, 准教授 (70251030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇川 彰 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究機構, 副機構長 (10143538)
吉江 友照 筑波大学, 計算科学研究センター, 准教授 (40183991)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 直接的CP非保存パラメータ / 格子QCD / 素粒子標準模型 / 小林-益川理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、K中間子崩壊振幅を格子QCDによる第一原理計算により、不定性無しに数値計算し、K中間子系での直接的CP非保存パラメータを標準模型から求めることである。本研究で得られた結果と実験値を比較することにより、標準模型におけるCP非保存現象をより深く理解できると期待出来る。 本研究では、崩壊の終状態のπ中間子が有限運動量を持つ物理的状況下でのK中間子崩壊を考える。これを格子上で実現させるために、π中間子質量=250MeV、K中間子質量=560MeV、格子サイズ=4.5fm のもとで計算を行う。このパラメータで生成したゲージ配位は存在しないため、本研究では配位生成を行う。崩壊振幅の計算では、4体フェルミ演算子の所でクォークループの計算が必要であり、この部分が大きい統計誤差を生むことが知られている。本研究ではこの部分を、ホッピングパラメータ展開法、不完全収束法、ノイズ法を組み合わせた方法を用いて計算する。 平成28年度の研究では、崩壊振幅の計算に必要なゲージ配位生成を行い、これを完了させた。また、崩壊振幅の計算を開始し、全体の約20%の計算を終了した。この崩壊振幅の計算により、我々が採用したクォークループの計算方法が有効な方法であることが確かめられた。また、統計誤差が統計数=N に対して 1/sqrt(N) で振舞っており、計算が順調に進捗していることを示している。来年度行う残りの80%の計算により、統計的に有意にゼロでない物理量が求められると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
期待していたとおりの計算機リソースを獲得できたことと、考えていた計算方法が予想通りの有効性を持っていたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度では、平成28年度生成したゲージ配位を使い、計算を開始したK中間子崩壊振幅の残り80%の計算を完了させる。また、RI-mom 法を用いて、くりこみ定数を非摂動論的に求める。この定数を使って格子上での崩壊振幅を、実験と比較できる物理的に意味のある連続理論での振幅に変換し、実験値と詳細に比較し検討する。
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