2015 Fiscal Year Annual Research Report
マクロコヒーレンスによる電弱過程の人工制御:ニュートリノ質量分光に向けて
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15H03660
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
植竹 智 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (80514778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 太彦 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (70108447)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マクロコヒーレント増幅 / ニュートリノ質量 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニュートリノの未確定パラメータ(絶対質量,質量階層,質量様式,CP 位相など) を決定することを目指し,我々は予想されるニュートリノ質量に近いレベルを持つ,原子・分子を使う方法を提案している.励起原子・分子からの光随伴ニュートリノ対放射過程(RENP) を発見するための要素技術は,マクロコヒーレント増幅(後述) による微弱レートの増強であり,本研究に先立つ予備的研究により,我々は量子電磁力学(QED) 過程である2光子放出で10の18以上のレート増幅に成功した. 本研究の目的は,RENP 過程発見に向けた次の段階として,(1) RENP 過程に適した標的開発:水銀原子気体によるマクロコヒーレント増幅機構の実証,(2) マクロコヒーレント3 光子放出過程とRENP 過程の競合に関する理論的・実験的研究,の2点を進めることである. 平成27年度は主にシミュレーションモデル構築および計算コードの開発を進め,とRENPに最適な標的の検討を進めた.当初は水銀を標的として検討を進めていたが,数値シミュレーションの結果,Xeを標的とした方が高次QED過程のマクロコヒーレント増幅を高効率で実現・検出できることが判明した.当初の想定とは異なった結果だったため,研究方式を見直し,対向励起型シミュレーションコードの開発も進めることとした.その結果対向励起型でも十分なマクロコヒーレンスを生成可能であることが判明した.そこで,Xe原子対向励起用の光源設計などの光源開発に着手した. 理論面ではRENP過程の競合となる高次QED過程をの抑制方法について研究を進め,成果を論文にまとめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標としていたシミュレーションモデルの構築について,基本的な枠組みはほぼ完成した.その結果,RENPに向けた最適な標的候補としてXeを選定した.新たな標的であるXeの対向励起用光源設計等の開発に着手している.理論面でも,高次QED過程をフォトニッククリスタルファイバを用いて抑制しうることを示し,論文としてまとめた.以上から,おおむね順調に研究が進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
Xe標的に合わせたレーザー光源開発を進め,Xe標的による高次QED過程のマクロコヒーレント増幅実証を目指す.具体的な研究計画は以下の通りである. (1) 対向励起用の波長596nmおよび298nmの高出力・狭線幅パルス光源開発:Xeの1S0→3P2間に高いコヒーレンスを生成することが実験上非常に重要である.このために必要な励起光源の条件は,波長596nmおよび298nm,出力50mJ以上,線幅100MHz未満 (フーリエ限界線幅),パルス幅10nsである.非線形光学過程を用いてこの要求を満たす光源開発を進める. (2) マクロコヒーレント3光子放出光検出光学系の設計および開発:3光子放出過程の発生レートをマクロコヒーレント増幅によって増幅し,検出を試みる.1光子検出レベルの高感度・低雑音検出システムを開発する. (3) 数値シミュレーションモデルの高精度化:平成27年度に開発した数値シミュレーションモデルの高精度化を進め,より実験を再現できるモデル開発を目指す. (4) マクロコヒーレント増幅された高次QED過程の詳細理論構築:RENP過程のレートや角度依存性,効率的な抑制方法など詳細な理論構築を引き続き進める.
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Simultaneous Measurements of Superradiance at Multiple Wavelength from Helium Excited States: II. Analysis2016
Author(s)
Chiaki Ohae, James R. Harries, Hiroshi Iwayama, Kentarou Kawaguchi, Susumu Kuma, Yuki Miyamoto, Mitsuru Nagasono, Kyo Nakajima, Itsuo Nakano, Eiji Shigemasa, Noboru Sasao, Satoshi Uetake, Tomonari Wakabayashi, Akihiro Yoshimi, Koji Yoshimura, and Motohiko Yoshimura
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Journal Title
Journal of the Physical Society of Japan
Volume: 85
Pages: 034301
DOI
Peer Reviewed
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