2016 Fiscal Year Annual Research Report
マクロコヒーレンスによる電弱過程の人工制御:ニュートリノ質量分光に向けて
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15H03660
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
植竹 智 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (80514778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 太彦 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (70108447)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マクロコヒーレント増幅 / ニュートリノ質量 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究によりRENP過程への標的としてXeが最適な候補と判明した.平成28年度はこれに合わせたレーザー光源開発およびシミュレーションモデルの高精度化,計算コードの改良を進めた. Xe対向励起に必要な光源は波長596nmおよび298nmの高出力・狭線幅パルス光である.市販レーザーではこの性能を得ることはできないので,独自に設計し開発を進めた.レーザー光源開発として具体的に進めた内容は次の通りである.目的とする光は非線形波長変換によって生成するが,この非線形波長変換による出力期待値を計算するシミュレーションコードの開発,およびシミュレーション結果に基づいて最適な非線形光学結晶の選定を行った.また,シミュレーションの結果,既設の市販Nd:YAGレーザー出力 (約90mJ) を非線形波長変換のポンプ源とするには出力が足りないことも判明したため,市販Nd:YAGレーザーを改造して出力を増強するための非線形光学結晶選定も行った.必要な非線形光学結晶を購入し実験を進め,Nd:YAGレーザーの出力として約160mJ (既設レーザー出力の1.8倍) の出力を得ることに成功した.また,Nd:YAGレーザー出力から波長変換により596nmを生成するには,波長875nmのパルス光が必要となる.この波長の光源としてチタンサファイアレーザーシステムを設計し,開発を進めた. Xe励起のシミュレーションモデルについては,計算アルゴリズムの改良・高速化などを進めた. 上記に加え,RENP過程のバックグラウンドとなる高次QED過程を抑制する方法について理論研究も進めた.光学領域で適用可能なブラッグファイバーを用いたバックグラウンド制御法を示し,成果を論文にまとめ投稿した (受理).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Xe励起に必要な光源開発は順調に進んでおり,これまでのところ計算によって得られた期待値通りの出力が得られている.最適化を進めてさらなる高出力化を目指しており,Xe原子に高いコヒーレンスを生成する準備が整いつつある状況である. また理論研究についても,RENP過程のバックグラウンドとなる高次QED過程を抑制する方法についてブラッグファイバーを用いた手法を示し,成果を論文にまとめ投稿した.以上から,おおむね順調に研究が進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き光源の高出力化を進め,Xe標的による高次QED過程のマクロコヒーレント増幅実証を目指す. また,マクロコヒーレント3光子放出光検出光学系の設計および開発を進める.3光子放出過程の発生レートをマクロコヒーレント増幅によって増幅し,検出を試みる.1光子検出レベルの高感度・低雑音検出システムを開発する.さらに,マクロコヒーレント増幅された高次QED過程の詳細理論構築を進め,その効果的な抑制法を詳細に調査する.RENP過程のレートや角度依存性など詳細な理論構築を引き続き進める.
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Research Products
(9 results)