2016 Fiscal Year Annual Research Report
光角運動量移行その場観察による無機固体物質不斉制御研究
Project/Area Number |
15H03680
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大隅 寛幸 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学総合研究センター, 専任研究員 (90360825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高阪 勇輔 広島大学, 理学研究科, 特任助教 (60406832)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 不斉制御 / 結晶成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブリッジマン法により育成したFe1-xCoxSi結晶にラゲールガウスビームを様々な条件で照射し、そのカイラリティドメインを放射光X線で顕微観察することにより、試料結晶への光角運動量移行の影響をコンビナトリアル評価した。これにより、試料結晶に変化が生じるレーザー光照射条件の絞り込みに成功した一方で、レーザー光が結晶粒界を跨いで照射されることによる測定効率の悪化や解析の困難化等の問題点の存在も明らかとなった。そこで、結晶性の向上を目指して浮遊帯域炉による単結晶育成に着手し、単結晶育成条件の最適化を進め、Fe1-xCoxSi(x=0)の良質な大型単結晶を得ることに成功した。これらの研究成果により、Fe1-xCoxSi結晶への光角運動量移行の影響を今後効率的に定量評価して行く目途が立った。それらと並行して、昇温可能な試料ホルダーを製作し、CsCuCl3結晶へのレーザー光照射条件の検討を行った。具体的には、レーザー光照射によるCsCuCl3結晶の損傷閾値の温度依存性を測定し、コンビナトリアル評価を行うべきパラメータ領域(温度-フルエンス)を限定した。加えて、レーザー光照射位置の試料温度の再現性を高めるために、CsCuCl3結晶の薄板整形加工を実現し、同じ厚さに調整した多数の薄板試料を用意した。また、CsCuCl3の過飽和溶解度の温度依存性の測定、結晶が析出し難い送液配管の材料選定等を行い、結晶成長に対する光角運動量移行の影響を調べるための試料環境の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、レーザー光の照射条件を少しずつ変えてラゲールガウスビームを照射したコンビナトリアル評価用の試料を用いて、レーザー光の適正照射条件の探索を行うことを予定していた。実際に、Fe1-xCoxSiについては、コンビナトリアル評価用の試料片を放射光X線で顕微観察し、試料結晶に変化が生じるレーザー光照射条件の絞り込みに成功した。ビームタイムの配分が限られているため、CsCuCl3についてはコンビナトリアル評価に至っていないが、試料の準備は出来ているのでビームタイムの配分を待つのみである。研究計画の見直しが必要な問題は発生しておらず、おおむね計画通りに進捗していると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
Fe1-xCoxSiについては、レーザーパルス照射痕近傍で結晶カイラリティが変化している様子の放射光イメージングに取り組み、ラゲールガウスビームの角運動量密度分布と対応付けた解析により、光角運動量移行の微視的機構に関して議論を進める予定である。CsCuCl3については、限られた放射光ビームタイムで、ソフトフォノンの不斉励起および不斉結晶成長場に関しての実験的知見が得られるよう、オフラインでの予備実験により照射条件の絞り込みを推し進める予定である。
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Research Products
(24 results)
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[Journal Article] Chiral Surface Twists and Skyrmion Stability in Nanolayers of Cubic Helimagnets2016
Author(s)
A. O. Leonov, Y. Togawa, T. L. Monchesky, A. N. Bogdanov, J. Kishine, Y. Kousaka, M. Miyagawa, T. Koyama, J. Akimitsu, T. Koyama, K. Harada, S. Mori, D. McGrouther, R. Lamb, M. Krajnak, S. McVitie, R. L. Stamps, and K. Inoue
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Journal Title
Phys. Rev. Lett.
Volume: 117
Pages: 087202/1-5
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] 三角格子反強磁性体CsCuCl3の圧力下THz-ESR測定II2017
Author(s)
大木瑛登, 櫻井敬博, 平尾祐樹, 大久保晋, 太田仁, 上床美也, 田中秀数, 世良文香, 高阪勇輔, 秋光純, 世良正文, 井上克也
Organizer
日本物理学会第72回年次大会
Place of Presentation
大阪大学(豊中市)
Year and Date
2017-03-20
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[Presentation] CrNb3S6における磁気共鳴のサイズ依存性2017
Author(s)
島本雄介, 十河忠幸, Francisco Goncalves, 吉澤大智, 萩原政幸, Robert Stamps, 高阪勇輔, 秋光純, 西原禎文, 井上克也, I. G. Bostrem, Vl. E. Sinitsyn, A. S. Ovchinnikov, 岸根順一郎, 戸川欣彦
Organizer
日本物理学会第72回年次大会
Place of Presentation
大阪大学(豊中市)
Year and Date
2017-03-17
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[Presentation] Homo-chiral crystal growth and chiral helimagnetism in CsCuCl32016
Author(s)
Y. Kousaka, T. Koyama, K. Ohishi, K. Kakurai, V. Hutanu, T. Brueckel, J. Campo, J. Suzuki, Y. Miyamoto, A. Sera, K. Inoue, and J. Akimitsu
Organizer
Joint Workshop JCNS and Flipper 2016
Place of Presentation
Tutzing, Germany
Year and Date
2016-10-07
Int'l Joint Research
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[Presentation] キラルソリトン格子磁気共鳴の磁場依存性2016
Author(s)
十河忠幸, Francisco Goncalves, 吉澤大智, 萩原政幸, Robert Stamps, 高阪勇輔, 秋光純, 西原禎文, 井上克也, I. G. Bostrem, Vl. E. Sinitsyn, A. S. Ovchinnikov, 岸根順一郎, 戸川欣彦
Organizer
日本物理学会2016年秋季大会
Place of Presentation
金沢大学(金沢市)
Year and Date
2016-09-15
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[Presentation] CsCuCl3の磁気キラル二色性2016
Author(s)
中川直己, 阿部伸行, 豊田新悟, 木村尚次郎, Julien Zaccaro, Isabelle Gautier-Luneau, Dominique Luneau, 高阪勇輔, 井上克也, 秋光純, 有馬孝尚
Organizer
日本物理学会2016年秋季大会
Place of Presentation
金沢大学(金沢市)
Year and Date
2016-09-13
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[Presentation] 三角格子反強磁性体CsCuCl3の圧力下THz-ESR測定2016
Author(s)
櫻井敬博, 大木瑛登, 平尾祐樹, 大久保晋, 太田仁, 上床美也, 田中秀数, 世良文香, 高阪勇輔, 秋光純, 世良正文, 井上克也
Organizer
日本物理学会2016年秋季大会
Place of Presentation
金沢大学(金沢市)
Year and Date
2016-09-13
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[Presentation] Polarized Neutron Diffraction Studies in Inorganic Chiral Magnets2016
Author(s)
Y. Kousaka, T. Koyama, K. Ohishi, K. Kakurai, V. Hutanu, T. Brueckel, J. Suzuki, H. Ninomiya, Y. Matsumoto, S. Ohara, Y. Miyamoto, A. Sera, K. Inoue and J. Akimitsu
Organizer
ICMM2016 Satellite Meeting New frontier of multi-functional magnets (NFM2016)
Place of Presentation
Hiroshima City Bunka Kouryu Kaikan (Hiroshima)
Year and Date
2016-09-11
Int'l Joint Research / Invited
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