2016 Fiscal Year Annual Research Report
精密磁場方向制御による極低温磁化測定の実現と異方的強相関系の研究
Project/Area Number |
15H03682
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榊原 俊郎 東京大学, 物性研究所, 教授 (70162287)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 極低温磁化測定 / フラストレート系 / 強相関電子系 / 超伝導 / 磁性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、現有の極低温ファラデー法磁化測定装置に試料回転機構を組み込み、100mK、15Tまでの磁場方向制御下の磁化測定を実現し、各種異方的磁性体へ応用することを目標としている。課題となっていた300mKまでしか冷えない問題は、熱流入対策を施したことによって解決され、100mKまでサンプルが冷えるようになった。これを用いて、以下の成果が得られた。 (1)重い電子メタ磁性体CeRu2Si2のメタ磁性転移の磁場角度依存性:装置のテストを兼ねて、CeRu2Si2のc軸方向に見られるメタ磁性転移について角度依存性を100mKまで調べ、c軸からの角度をθとして転移磁場および磁化がHcosθでスケールできることを確認した。これはこの系が強いイジング性を有していることを示す結果である。 (2)リエントラント超伝導を示すことで注目されるイジング強磁性体URhGeについて磁化困難軸であるb軸近傍で角度分解の磁化測定を行い、量子相転移近傍の相図のウィング構造を決定することに成功した。また一次相転移の三重臨界温度は4K以上とかなり高温であることがわかった。一方、同様な測定を類似物質であるUCoGeについて試みたが、この系では明確な量子相転移が観測されなかった。自発磁気モーメントや異方性の大きさの違いによるものと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていた2軸制御下での100mKまでの磁化測定が可能になり、幾つかの物質について新規のデータを得ることに成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今のところ問題点はなく、当初の予定どおり実験を行っていく。極低温でかつ試料の方向を制御しながら磁化測定の行える装置はこれまでに無かったもので、今後様々な物質について応用する予定である。当面計画している実験は、スピンアイスDy2Ti2O7の[111]軸近傍の磁場誘起転移、新規物質EuPtSiの磁場誘起秩序相の方向依存性、などである。
|
Research Products
(18 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] CeCo(In1-xZnx)5の低温高磁場相2017
Author(s)
横山淳, 益子寛明, 大高凌, 天谷健一, 近藤晃弘, 金道浩一, 中村翔太, 榊原俊郎, 清水悠晴, 仲村愛, 青木大
Organizer
日本物理学会 第72回年次大会
Place of Presentation
大阪大学豊中キャンパス(大阪府・豊中市)
Year and Date
2017-03-17
-
-
-
-
-
-
-
-
-