2017 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental technique for the low-temperature magnetization measurements with a precise tuning of he field direction and its application to strongly correlated systems with strong anisotropy
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15H03682
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榊原 俊郎 東京大学, 物性研究所, 教授 (70162287)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / 相転移 / 低温物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はスピンアイス化合物Dy2Ti2O7について測定を行った。Dy2Ti2O7はDyイオンがパイロクロア格子を形成し、基底状態では4面体ユニットのDyスピンは2つが内向きで2つが外向きの"2-in 2-out"状態をとり、マクロに縮退している。[111]方向に磁場をかけると、臨界磁場Hc~0.9Tにおいて磁化の不連続な飛びを伴う1次転移を起こして、縮退のない"3-in 1-out"状態へと変化することが知られている。以前の測定結果では、Hc~0.9Tにおける1次転移の磁化の立ち上がりは鋭いが、磁化の飽和は低温極限でも緩やかで、1次転移が非対称であった。しかしこの時の測定では試料に1度程度のミスアライメントがあり、これが転移のブロード化の原因の可能性があった。そこで今回、2軸の試料方位制御下で磁場を[111]方向から約0.1度以内の精度で合わせて測定を行った。その結果、以前と同様に0.9Tの1次転移の磁化は、立ち上がりが鋭く飽和が緩やかな、明瞭な非対称性を示すことが明らかとなった。 交換相互作用および双極子相互作用を考慮した標準的なスピンアイスモデルにおけるモンテカルロ計算によると、この1次転移の磁化の振る舞いは、磁化の飽和も鋭い対称的な転移である。したがって、実験で得られた1次転移の非対称性は非自明な現象である。この1次転移は磁気モノポールの凝縮転移という解釈がなされているが、モノポール密度がある値以上になると、その増大を抑える何らかの作用が存在していることを今回の実験結果は示している。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)