2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03716
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大槻 圭史 神戸大学, 理学研究科, 教授 (00250910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末次 竜 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環, 特命助教 (40737334)
高遠 徳尚 国立天文台, ハワイ観測所, 准教授 (50261152)
吉田 二美 国立天文台, 国際連携室, 専門研究職員 (20399306)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 土星リング / 衛星形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、土星のFリングと羊飼い衛星の起源に関する研究を進め、論文を発表した。土星のFリングは1979年に探査機パイオニア11号により発見された細いリングで、二つの羊飼衛星を持っている。Fリングと羊飼衛星はその後、探査機ボイジャーおよびカッシーニなどにより詳細に観測され構造等が調べられてきたが、その起源は明らかになっていなかった。一方、最近の衛星形成理論によると、かつて現在のリングより総質量の大きな粒子円盤が惑星の周りにあり、巨大惑星近傍の衛星はそこから拡散した粒子が集まって形成されたと考えられている。この場合、衛星形成過程の最終段階において、小さな衛星が主要リング外縁付近に複数形成され、お互いに近い軌道を持つという状況が起こることが、我々の最近の研究より明らかになっている(Hyodo, Ohtsuki, Takeda 2015)。また探査機カッシーニによる観測から、主要リング外縁付近にある小衛星は均質ではなく、密度の高い核を持つことが示唆されている。そこで本研究では、密度の高い核を持つ小衛星同士が衝突する過程について、衛星を小粒子の集合体として表し数値シミュレーションを用いて調べた。その結果、小衛星は部分的に破壊されるが核は生き残り、Fリングと羊飼衛星と似た系が形成されることを明らかにした。この結果より、Fリングとその羊飼衛星は、土星衛星系の形成過程の最終段階で、自然な副産物として形成されたことが示唆される。本研究の結果は雑誌Nature Geoscienceに投稿、掲載された。他に、巨大惑星の周りのガス円盤による衛星材料物質捕獲および捕獲後の軌道進化に関する研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の研究課題に関して順調に進行しており、投稿論文も出版している。特に、土星Fリングの起源に関する論文(Hyodo & Ohtsuki 2015, Nature Geoscience)は、同リングの起源を世界で初めて明らかにしたものであり、国内外のメディアでも多数報道された。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、複数の研究課題に関して研究および論文執筆を進める。また、分担者が実施している地上望遠鏡による小天体の観測的研究との関連性に関する研究も進める。
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Research Products
(11 results)