2016 Fiscal Year Annual Research Report
GPUクラスターを用いた1億粒子シミュレーションによる惑星形成過程の解明
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15H03719
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
押野 翔一 国立天文台, 天文シミュレーションプロジェクト, 専門研究職員 (80631655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 安範 国立天文台, 太陽系外惑星探査プロジェクト室, 特任助教 (40724084)
藤井 通子 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (90722330)
岩澤 全規 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究機構, 特別研究員 (10650038)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 惑星形成 / 重力多体問題 / ハイパフォーマンスコンピューティング / GPUコンピューティング / GPGPU / 数値シミュレーション / N体計算 / 理論天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は惑星形成用大規模N体シミュレーションコードの性能評価及び岩石惑星の形成シミュレーションを行った。我々が新たに開発したハイブリッド並列N体コード(PENTACLE)は粒子間重力の並列化に Framework for Developing Particle Simulator (FDPS) を用いている。FDPSは高性能な並列計算コードをより簡単に開発できるライブラリである。また、PENTACLEコードでは惑星形成において重要となる近接遭遇を高精度で計算し、かつその演算量を減らすため、異なる数値積分法を組み合わせる Particle-Particle Particle-Tree法 (PPPT法) を使用している。開発したコードについては、スーパーコンピュータを用いて計算精度、並列化効率、計算速度などを詳細に調べ、実用に耐えうるものであることを示した。その後、このコードを用いて大規模惑星形成シミュレーションを行い、100万体の微惑星が集積合体し岩石惑星になる過程を計算した。この計算では粒子数を変えることで微惑星の大きさを変化させ微惑星サイズによる惑星の進化の違いを明らかにすることを目的としている。計算の結果、より小さな微惑星を用いることで微惑星が受ける円盤ガスからの抵抗が大きくなり微惑星の速度分散が抑えられることが確認できた。これらの結果については、日本天文学会、日本惑星科学会、日本地球惑星科学連合 連合大会において発表を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで行われていない100万粒子での惑星形成を100万年シミュレーションで計算することに成功した。また、PENTACLEコードを使用することで1000万体の惑星形成シミュレーションについても実現可能であることが示せた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的である1億体のシミュレーションに向けて現在GPU計算用の重力カーネルを開発中である。これにより初めてキロメートルサイズの微惑星を取り扱うことが可能になる。また、太陽系の8個の惑星の軌道を含む領域のシミュレーションを進めており、これまではわからなかった太陽系初期の物質の移動についての調査を行う。
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Research Products
(5 results)