2015 Fiscal Year Annual Research Report
水蒸気の時空間分布計測のための光・電波複合観測システムの研究
Project/Area Number |
15H03724
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津田 敏隆 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (30115886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢吹 正教 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (80390590)
橋口 浩之 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (90293943)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 気象 / リモートセンシング / 水蒸気 / GNSS気象学 / 稠密GNSS受信ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、雨滴が生成されるより前の水蒸気の動態を知り、さらに降水に至るまでの大気現象の推移を、先端計測とデータ同化技術により明らかにすることを目的とする。特に、鍵となる水蒸気については、独自に構築してきたGNSS(GPSや準天頂衛星等の衛星測位システム)の稠密受信ネットワークにより高分解能な可降水量の水平分布を得る。 平成27度より、京都府南部地域の観測に使用してきた10台の2周波のGNSS受信機を、滋賀県の信楽MU観測所周辺の伊賀市・甲賀市に再配置して、信楽GNSS稠密受信ネットワークの構築を行った。受信機を設置する領域は、過去2年間の信楽地域への降水雲の流入経路の特徴を参考として決定した。また、雨量の予測精度を改善する最適な受信機の設置間隔は、京都府で過去に取得された稠密観測データを、局所アンサンブル変換カルマンフィルタ(LETKF)を用いてデータ同化する感度実験を基礎に求めた。森林や農地が多い信楽地区では、電源の確保やアンテナ設置の認可等で時間を要したため、ネットワークとしての観測は、当初計画から約4ヶ月遅れた平成28年7月から開始した。その遅れの期間を利用して、ミニPCとモバイルデータ通信を組み合わせた遠隔監視システムを独自に構築し、長期間、安定して運用できる体制を整えた。また、観測ネットワーク内に廉価な1周波受信機を設置し、可降水量計測に適用するための検証観測を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度より、伊賀市・甲賀市へのGNSS受信機の移設作業を進めてきたが、森林や農地が多い信楽地区では、電源の確保やアンテナ設置の認可等で時間を要した。そのため、ネットワークとしての観測は、当初計画から約4ヶ月遅れた平成28年7月から開始した。一方で、遅れの期間を利用して、独自開発した遠隔監視および準リアルタイムデータ転送ができるシステムを組み込み、安定した運用ができる体制を整えることができた。平成28年夏~平成29年秋までの観測を計画しており、本研究課題で必要となる通年のデータセットの取得は可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年7月より実施している滋賀県の信楽MU観測所周辺へのGNSS受信ネットワークでの可降水量観測に加えて、水蒸気鉛直分布を計測する紫外域ラマンライダー、風速の3成分を計測するウィンドプロファイラとのリモートセンシング複合観測を継続する。また、複合システムの性能を評価するためのラジオゾンデ計測は、平成28年度に約30回、平成29年度にも夏期を中心に50回以上の実施を計画している。これらの「複合観測システム」で取得される観測結果から、信楽地区周辺での水蒸気空間分布の特徴を理解するとともに、データ同化の初期値に反映させることで、対流発生の場所・時間の予測精度が改善するかを評価する。
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Research Products
(12 results)