2016 Fiscal Year Annual Research Report
電子ハイブリッド・MHD連成計算機実験による惑星放射線帯電子加速過程の研究
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15H03730
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 雄人 東北大学, 理学研究科, 准教授 (60378982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深沢 圭一郎 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (50377868)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 宇宙プラズマ・プラズマ波動 / 地球惑星磁気圏 / 太陽地球システム・宇宙天気 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、惑星磁気圏に普遍的な相対論的電子加速モデルを構築することを目的として、加速過程を担うホイッスラーモード・コーラス放射の発生過程を電子ハイブリッド・MHD連成計算により再現し、コーラス放射の波動特性と電子加速効率を究明する。 研究計画2年目となる平成28年度は、初年度に引き続きコーラス放射発生過程に関する電子ハイブリッドシミュレーションを、特に初期条件として与える高エネルギー電子の速度分布と、発生するコーラス放射との関連に着目して実施して、得られた計算結果をもとに、コーラス放射の特徴と計算の初期条件に関するデータベースの構築を進めた。また、過去の研究からコーラス放射の発生頻度が高い領域であることが示されているガニメデ衛星軌道近傍での木星磁気圏の磁場構造とプラズマ環境について、MHDシミュレーションを実施して調べ、それを初期条件として電子ハイブリッドシミュレーションを行う連成計算を実施した。その結果、高エネルギー電子の数密度がある一定の値以上となる条件で、非線形効果が卓越していることを示唆する計算結果が得られ、詳細な解析を実施している。以上の研究活動によって得られた成果は、国内外での学会・研究会で発表した。本研究で取り組んでいる連成計算手法は、成果発表を行った日本シミュレーション学会主催のJSST2016でOutstanding Presentation Awardを受賞するなど、高い評価を受けている。研究経費はデータ解析環境の整備とデータベース作成補助のための謝金、関連する最新の研究成果の情報収集ならびに成果発表旅費として使用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度に引き続いて、電子ハイブリッドコードによるコーラス放射発生過程に関するサーベイ計算と、MHDコードを用いた木星磁気圏の磁場構造・プラズマ環境の時間・空間変動についての調査が順調に実施できており、相対論的電子加速モデルで用いられるデータベース構築も予定通り進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従って、H29年度は引き続きサーベイ計算を実施すると共に、H28年度より開始した電子ハイブリッド・MHDコードによる連成計算機実験を継続して実施する。大規模計算機実験の実施の為に、十分な計算機資源の確保が必要であり、そのための計算機共同利用申請を既に済ませている。また、得られた計算結果と、地球ならびに木星磁気圏でのプラズマ波動・高エネルギー粒子観測結果との比較を進める。観測結果の解析研究を進めるために、研究協力者との共同研究や、関連する研究プロジェクトとの連携を積極的に進めている。
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