2015 Fiscal Year Annual Research Report
超熱的プラズマ粒子観測装置による新たな地球磁気圏観測
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15H03735
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
淺村 和史 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50321568)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 粒子観測器 / 地球惑星磁気圏 / 機器開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地球惑星磁気圏における 0.1eV - 100 eV のエネルギー範囲の粒子観測を念頭に、イオンエネルギー質量分析器の開発を行う。本観測器は 0.1eV 程度の低いエネルギー帯のイオン観測をターゲットに含んでいる。一方、宇宙空間では人工飛翔体が帯電する。この帯電によって周辺を飛翔する粒子の軌道が偏向されるが、この影響は低エネルギー粒子であるほど顕著であり、観測に影響を与えてしまう。このため、ブームなどによって観測器を人工飛翔体本体から離し、さらに観測器全体に積極的に電位を与えることを考えている。この場合、観測器は小型である必要がある。初年度は計算機シミュレーションを用いた観測器設計を行った。静電エネルギー分析部の極板形状・配置を工夫するとともに、質量分析技術として用いられてきた飛行時間分析 (Time-Of-Flight) 法を改良した。その結果、小型形状を実現しつつ、感度を大きく損なわないセンサー形状を得ることができた。また、得られた計算機シミュレーション空間内の形状を基に実際の観測器構造設計を行った。放電を抑制するための電極間距離の確保、視野を阻害しないようなケーブルの這いまわしなどに留意し、組み上げることが可能な筐体・電極設計を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに計算機シミュレーションを用いて観測器の設計を行った。一般的に観測器を小型化するとそのままでは感度が落ちてしまう。本観測器ではターゲットとする最高エネルギーを 200eV と低く抑えつつ、電極に与える電圧を調整することで粒子軌道偏向に用いる極板間隔を広げた。これにより、従来の 10keV 程度をターゲットとする観測器と同程度の感度を実現するとともに、エネルギー分析・質量分析可能で感度を大きく損なわない形状を得ることに成功した。しかし、計算機シミュレーションでは観測器内の粒子軌道を計算しており、その粒子軌道を実現するために必要な電極配置の情報は得られるが、観測器として組み上げるために必要な情報の全てが得られるわけではない。このため、得られた計算機シミュレーション空間内の形状を基に実際の観測器構造設計を行う際には、放電を抑制するための電極間距離の確保及び絶縁物配置、視野を阻害しないようなケーブルの這いまわしなどに留意し、組み上げることが可能な筐体・電極設計を行った。また、設計したセンサー部構造の製作を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
製作したセンサー構造を用い、性能試験を行う。真空チェンバー内に観測器を設置し、イオンビーム照射によって観測器の動作確認を行い、エネルギー分解能、角度分解能、質量分解能、感度などの粒子通過特性を取得する。また、重水素ランプを用い、紫外線ビームを照射することで光子除去性能を評価する。必要な光子除去性能が得られない場合、試験結果から問題となる光子軌道を推定し、電極にバッフルを追加するなどの対策をとる。なお、現時点では観測器電極構造、検出器部などのセンサー部分のみを試作している。これは、センサー部分のみでも汎用的な計測系と電源供給系 (高圧電源) を用いて試験が可能なためである。仮に電子回路部を含めた全体構造を最初から製作してしまうと、センサー部に問題があった場合に電子回路部構造なども再製作を要することとなる可能性があるため、現段階では製作していない。一方、観測器として成立させるためには全体構造が必要である。特に、本観測器では観測器全体に積極的に電圧を印加することで、宇宙空間における飛翔体の帯電の影響を抑制することを考えている。このため、全体構造の試作を行う。
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Research Products
(1 results)