2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H03740
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
斎藤 誠史 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 次世代海洋資源調査技術研究開発プロジェクトチーム, 特任研究員 (80637588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 岳造 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 深海・地殻内生物圏研究分野, 研究員 (00512906)
西澤 学 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 深海・地殻内生物圏研究分野, 研究員 (60447539)
澤木 佑介 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 助教 (00635063)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 炭酸塩岩 / 硝酸 / 窒素同位体比 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、西オーストラリア・ピルバラ地域東部において地質調査を行い、太古代後期の岩石試料を採集した。太古代後期は、約23億年前の大酸化事件(Great Oxidation Event; GOE)に先がけて、大気・海洋系における初期の酸化イベントが起きたと考えられている。この酸化イベントにともなって、海水中の硝酸の濃度およびその窒素同位体比が変化した可能性が考えられる。ピルバラ地域東部には、約26億年前の太古代後期に堆積した浅海成炭酸塩岩が広く分布している。この炭酸塩岩の採集を目的として、地質調査を行った。地質図および現地における予察的な調査の結果から、露頭の露出状況が特に良い2つのセクションを選定して、詳細な地層の観察を行った。これらのセクションでは総計100 m以上に渡り、塊状/層状の青灰色ドロストーンが累重する。また黒色の珪質泥岩層やチャートノジュールなども一部に含まれる。2つのセクションにおいて、合計約100個の新鮮な岩石試料を連続的に採集した。採集した全ての炭酸塩岩試料について研磨スラブおよび岩石薄片を作成して、詳細な鏡下観察および岩相記載を行った。露頭と実験室内における詳細な観察結果に基づいて、2つのセクションにおける炭酸塩岩層の岩相層序の確立を試みた。特に、古海洋における海水硝酸の濃度および窒素同位体比は水深によって変化することが予想されることから、岩相層序に基づき、炭酸塩岩の堆積環境の復元を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
太古代後期は、大酸化事件に先がけて初期の酸化イベントが起きたと考えられており、本研究の対象である炭酸塩置換態硝酸の分析を行う上で最も適当な期間の一つである。当該年度においては、この太古代後期の海洋の情報を保持する新鮮な炭酸塩岩試料を連続的に採集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、炭酸塩岩中にごく微量含まれる硝酸を回収し、その窒素同位体比を測定するための実験系を確立することを試みる。さらに、採集した炭酸塩岩を分析して、古海洋の海水硝酸の窒素同位体比の復元を試みる。
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Research Products
(2 results)