2015 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル・ザブハン地塊の原生累代と顕生累代境界前後に生じた地球生物相の大転換
Project/Area Number |
15H03744
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
江崎 洋一 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (60221115)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地球生物学 / 古生物学 / カンブリア紀 / 顕生累代 / 原生累代 |
Outline of Annual Research Achievements |
モンゴル・ザブハン地塊には,エディアカラ系から下部カンブリア系が連続的に分布している.本年度の研究実績の概要は次の通りである. 1.モンゴル・ザブハン地塊(とりわけBayan Gol地域)における,エディアカラ系から下部カンブリア系の層序の概要を把握し,エディアカラ系とカンブリア系の境界層準を確認できた.両者の関係は不整合関係である. 2.Tsagaan Oloom層中のストロマトライト(Boxonia)は,層厚数mに及ぶ大規模な礁(生物丘)を形成する.ストロマトライトの内部は,ミクライト部とスパー部から成り,ラミナ組織が顕著で,気泡の痕跡が残されている.石灰質微生物類は確認できない. 3.Bayan Gol層では,生物擾乱作用や微小骨格化石群の産出が認められる,南中国地塊の最下部カンブリア系の微小化石群と共通性が高い.また,EpiphytonやRenalcisを含有するストロマトライトやストンボライトの発達が顕著である. 4.Salaany Gol層中では,骨格生物(主として古杯類)礁が発達するが,多様な石灰質微生物類も認められる.両者が生息空間を巧みに活用し合うことで,礁が構築されている.ボトリオイドセメントによる充填作用も認められ,当時の海洋環境がアラレ石海であったことが示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モンゴル・ザブハン地塊に分布するエディアカラ系から下部カンブリア系の層序の概要を把握できた.とくに,Bayan Gol地域で,エディアカラ系とカンブリア系の境界層準を特定でき,さらに,層準ごとの微生物岩の変遷様式を理解することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
モンゴル・ザブハン地塊における,エディアカラ系とカンブリア系の境界層準を確定する証拠固めを行う.さらに,各層準の微生物岩や石灰質微生物類の特性や変遷様式の詳細を明らかにする.微生物岩礁から骨格生物(古杯類)礁に至る移行様式と,海洋環境の変遷様式との関連性に関するデータを収集する.
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Research Products
(19 results)