2016 Fiscal Year Annual Research Report
Cation distribution in spinel iron oxides by resonant X-ray scattering
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15H03747
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥部 真樹 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (10397060)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スピネル構造 / 陽イオン分布 / 共鳴散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度にはこれまでに収集した天然のマグネタイト(Fe3O4)およびチタノマグネタイト(Fe3-xTixO4)の中から,組成分析とX線構造解析によりチタノマグネタイト単結晶と確認できた試料について共鳴散乱実験を行った.試料には,宮城県蒲沢鉱山産の天然のチタノマグネタイト(Ti0.31Fe2.69O4)を用いた.Fe2+, Fe3+の同種異価イオンを区別するため,FeK吸収端近傍のE = 7.1082 keVのX線を用いて回折データ測定を行った.実験は高エネルギー加速器研究機構の放射光施設Photon Factoryにて行い,回折データの測定にはAFC4軸回折計を用いた.Fe2+, Fe3+の原子散乱因子の異常分散項の値は,FeO粉末,Fe2O3粉末のXANESスペクトルよりkramers-kronigの関係を用いて求めた.解析の結果,陽イオン分布は、[Fe3+1.00]A site [Fe3+0.38 Fe2+1.31 Ti4+0.31]B siteと求められた. また,チタノマグネタイトは磁気鉱物であり,その磁気特性はスピネル構造中の4配位のAサイトと8配位のBサイトにおけるTi4+, Fe2+, Fe3+イオンの占有率に依存することが知られている.今後本研究を放射光X線を用いた磁気構造解析へ発展させてゆくために,円偏光とX線共鳴磁気散乱強度の相関について検討を行った.磁気応答の強い参照試料として,フェリ磁性のGd3Fe5O12を用いた.FeK吸収端近傍波長で測定したデータを用い,円偏光を入射して非対称度における共鳴磁気散乱と非共鳴磁気散乱の寄与を検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
幾つかの天然試料と合成試料を準備し,それぞれについてFe2+, Fe3+を区別した陽イオン分布を求める予定であったが,(1)天然チタノマグネタイト(Fe3-xTixO4)の単結晶試料の収集と (2) Fe3-xTixO4単結晶の合成が当初の想定よりも難航したことにより計画に遅れが生じている. (1)については,端成分であるFe3O4を除いたTi含有の試料がなかなか見つからず,かつチタノマグネタイトと同定で来たものについても放射光実験用の単結晶を採取することが困難であった.(2)については合成したFe3-xTixO4粉末から,単結晶試料を成長させる条件の探索に検討が必要となった.
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Strategy for Future Research Activity |
解析から得られた陽イオン分布を基に磁気構造モデルの検討を行う. X線共鳴磁気散乱強度の検証については,非対称度のエネルギー依存性の測定を行う. 試料合成については継続して合成条件の検討を行う.
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Research Products
(9 results)