2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H03752
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古川 善博 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00544107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敬道 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 超高圧グループ, 主席研究員 (20260028)
関根 利守 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70343829)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 核酸塩基 / アミノ酸 / 隕石 / 衝突 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究費は生命誕生前の地球の海洋に隕石が衝突する際に起こると考えられる化学反応によってどのような有機物(特に核酸塩基)が生成するのかを明らかにする研究に使用した。隕石衝突による核酸塩基の生成を示す実験結果はこれまで報告されていないが、本研究では、隕石衝突を模擬した衝突回収実験生成物の分析を行い、シトシンとウラシルという核酸塩基の生成を世界で初めて明らかにした。これらの核酸塩基はDNAとRNAを構成しており、生命の遺伝システムには不可欠な物質である。この研究は地球惑星科学分野における主要な国際誌であるEarth and Planetary Science Lettersに公表し、その成果は国内の主要新聞(読売、日経、朝日、毎日など)や海外のニュースサイトなどのメディアで大きく取り上げられた。 さらに、本年度行った実験では主に塩化鉄、サーペンティンの影響を明らかにするための衝突回収実験を行った。この結果、塩化鉄は有機物の生成に有意な影響を及ぼさず、サーペンティンはアミノ酸やアミンの収率を大きく向上させることを示すデータを得た。サーペンティンは炭素質コンドライトに多く含まれる鉱物であり、この鉱物が衝突の際に有機物生成に貢献するということが確かめられれば、生命誕生前の地球における生命前駆物質の誕生に関して大きな影響を及ぼすと考えられる。この成果はさらに検証が必要であるので、次年度はこの検証も継続して行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験生成物の分析により、核酸塩基のうちの一部の生成を確認した。このことは初期地球における核酸塩基の新たな供給源を示すという本研究申請時の最も主要な目的を概ね達成したことなる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、今年度に取得したデータでその影響が示唆されたサーペンティンの影響を明らかにする実験、およびその他の隕石構成鉱物や初期地球に存在する鉱物の影響について衝突回収実験を行って評価する。これにより核酸塩基の生成に影響を及ぼす鉱物や条件を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(4 results)