2016 Fiscal Year Annual Research Report
Carrier transport and Photoenergy conversion at nano-interfaces
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15H03764
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 晃一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40175659)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ペロブスカイト型酸窒化物 / キャリア拡散 / バンド内熱緩和 / 水分解光触媒反応 / キャリア緩和時間 / アニオン原子配列 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はペロブスカイト型酸窒化物BaTaO2Nのキャリア拡散の改善に向け、バンド内熱緩和に注目したBaTaO2Nのキャリア緩和時間計算を行った。水分解光触媒反応による水素生成のため、可視光応答性を持つ材料の実用化が求められている。BaTaO2Nは価電子帯上端・伝導体下端が水の酸化還元電位を挟みながら可視光応答に適したバンドギャップを持つため注目されている。これまでの実験で犠牲試薬下での水素生成および酸素生成反応が確認されており、水全分解反応の達成には主にキャリア拡散に関する物性の改善が必要であると考えられる。本研究では、ペロブスカイト型酸窒化物のアニオン原子の配列に注目し、第一原理計算に基づくキャリア緩和時間の計算によって、BaTaO2Nの構造とキャリア拡散特性の関係を考察した。ペロブスカイト型酸窒化物はアニオン原子の配列によって電子状態が変化することが報告されているため、trans型とcis型でキャリアの緩和時間を計算し、比較検討を行った。BaTaO2Nのキャリア緩和はおよそ10~100 fs程度のスケールで起こること、またtrans型とcis型の結果を比較すると、特に価電子帯上端近傍でキャリアの緩和時間が大きく異なることが明らかとなった。BaTaO2Nの伝導帯下端、価電子帯上端を構成する軌道はそれぞれTaの5d軌道、OおよびNの2p軌道であることから、アニオンの原子配列がキャリア拡散に影響を与えることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、光触媒や太陽電池で用いられる材料のナノ界面に光が照射され生成するエキシトンの特異性による光エネルギー変換の過程を理論的に解析することを目的としている。平成28年度は水分解光触媒として期待されているペロブスカイト酸窒化物について、エキシトンが解離して生成したキャリアのバンド内緩和過程について新たな知見が得られ、今後の材料設計についての理論的指針に関する展望が見えた。
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Strategy for Future Research Activity |
ペロブスカイト酸窒化物のキャリア緩和に関する物性の詳細な考察、特にどのような材料の振動構造が緩和を引き起こすのか、また材料特有の欠陥を含む場合、欠陥準位へトラップされるキャリア寿命の予測へ研究展開する必要がある。
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Research Products
(10 results)