2015 Fiscal Year Annual Research Report
細孔径と分子識別能を調整可能な新しいナノ空間の創製
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15H03767
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
飯山 拓 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (30313828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 太郎 信州大学, 先鋭領域融合研究群 環境・エネルギー材料科学研究所, 助教 (70581643)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノ空間 / 分子分離 / 分子貯蔵 / イオン液体 / 空間制御 / 分子混合 / 有害物質除去 / グリーンケミストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
エネルギーを消費しない効率的な分子分離法の確立が強く求められている。本研究では、イオン液体に代表される不揮発性の液体をナノ空間中に導入し、その種類及び量を変えることで、実効細孔径と特定の分子に対するポテンシャルを調整可能なナノ空間を創製することを目的としている。 本年度は、メソポーラスシリカ-イオン液体混合体の作成と、その吸着特性評価を行った。メソポーラスシリカとしてSBA-15を用い、Emim[EtSO4]をはじめとする複数種のイオン液体を導入した。イオン液体は蒸気圧が極めて低い液体であるが、本研究で開発した方法により、効率よくメソ孔内に導入することに成功した。メソ孔へのイオン液体の導入量を変化させ、系統的に吸着能への影響を検討したところ、イオン液体の導入量の増加に対応して細孔容量が減少し、また一部の試料ではメソ孔径が大きく変化することを確認した。 同試料についてX線回折測定を行い、小角部に現れる規則性メソ細孔由来のピークの強度に変化が現れることを見出した。混合体が示したピーク強度の増加は、イオン液体が均一にメソ孔内に分散していることを示している。 また、有機分子の吸着能についても検討することができた。 細孔内のイオン液体の構造解析については、X線回折測定とともにRMC法の適用を行った。イオン液体は2種のイオンの混合体であり、また嵩高い分子であることから計算は困難であったが、イオン間のポテンシャルを考慮した計算を行うことにより、実験から得た構造情報を再現するの分子間構造の描像に成功した。 以上から、当初の目的に沿った、順調な成果を挙げられていると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目標のうち、不揮発性分子を導入したメソポーラスシリカの調製法の確立は順調に推移し、導入量を調整することによって細孔容量や細孔径といったナノ空間の幾何学的な特性を制御することが可能となった。また、細孔内の不揮発相の構造決定についても実験を開始することができた。 昨年度導入した吸着物性測定装置も順調に立ち上がり、今後の研究進展に大きく寄与すると考えられる。細孔中のイオン液体構造についても、RMC法の適用に成功し、構造記述法をおおむね確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
メソポーラスシリカ-イオン液体混合体については、試料作製法の確立、およびキャラクタリゼーションについて順調に進展させることができたので、これまでの研究で得られた知見をもとに、別の試料による混合体作成を進める。また、作成した混合体の用途開発のため、圧力のみではなく温度を変数とした吸着能変化の検討を開始する。実験、研究は計画通り進展させ、成果の発表も積極的に進める。
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Research Products
(4 results)