2016 Fiscal Year Annual Research Report
非解離レーザー脱離機構の解明と励起空間制御による高効率法の開発研究
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15H03772
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
藤野 竜也 東洋大学, 理工学部, 教授 (20360638)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | レーザー脱離イオン化 / マトリクス / MALDI法 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで強酸性の酸化物固体や、分子サイズの層間距離を持つスメクタイトを利用したレーザーイオン化法を開発してきたが、今年度はより生体親和性の高いハイドロキシアパタイトを利用した分子イオン化を試みた。ハイドロキシアパタイト上に担持させた二酸化チタンを利用して糖鎖をイオン化させたところ、単に二酸化チタンを利用した時に比べ約2倍の強度で糖分解ピークを検出することができた。これはハイドロキシアパタイト上で二酸化チタンのキャリア寿命が延びたことが予想されるが、これはケルビンプローブを利用して現在検証中である。またハイドロキシアパタイトを他の半導体微粒子と組み合わせることで、特に負イオン生成に効果があると考えられるので、これも実験中である。 以前より利用してきたゼオライトと弱有機酸を組み合わせたマトリクスを利用して、尿中に含まれる薬物及びその代謝物の検出を行った。グルクロン酸抱合体をはじめとした他の代謝物も夾雑物に妨害されることなく、前処理無しで検出できることが分かり、開発してきたマトリクスの有用性を示すことができた。 芳香族炭化水素間の励起エネルギー移動を利用して、レーザーの波長が直接届かない吸収を持つ分子を高効率に脱離イオン化できることを示した。アントラセンからテトラセンへ、さらにテトラセンからペンタセンへと励起エネルギーを移動させることで、ペンタセン単体を検出する方法に対し、約3倍のイオン強度を観測することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化物固体を利用した各種のレーザーイオン化法の開発に成功している。構造認識能をもつマトリクスの開発にも着手している。加えて、尿や汗中に含まれる分子を前処理を行わずに検出する方法も開発しており、順調に研究が進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
報文のまとめを徹底する。 ハイドロキシアパタイトを利用した生体親和性の高いマトリクス、構造認識マトリクスの開発など、従来のレーザーイオン化法では検出が不可能な分子の検出を積極的に行っていく。
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