2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03780
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
神川 憲 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40316021)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、面不斉遷移金属錯体の触媒的不斉合成について検討を行った。これまでに我々は面不斉CpMnカルボニル錯体を支持骨格に有するホスフィンーオレフィン錯体が、ロジウム触媒不斉反応において高い反応性を示すことを見出してきた。このような面不斉遷移金属錯体は、高い不斉識別能を有するにも関わらず、その触媒的不斉合成法は、あまり研究が行われてこなかった。そこで、速度論的分割によりにCpMn錯体の面不斉を触媒的不斉合成にて合成することを目的として検討を行った。まず、オルト位にブロモ基を有するビニルCpMnカルボニル錯体を合成し、光反応によりカルボニル基の1つをジフェニルメタリルホスフィンに置き換えた錯体を合成した。得られた基質を、キラルなメタセシス触媒と作用させることにより、非常に高い立体選択性で目的とする環化体を合成することができた。この環化生成物は、先に述べたホスフィンーオレフィン配位子合成の前駆体であり、その触媒的不斉合成を達成することに成功した。この不斉環化反応は環化により得られる生成物の環サイズに対して、最も適切なのは炭素原子3つからなる架橋構造をとるときであり、炭素4つからなる環化体に対しては、あまり高い立体選択性を示さないことも分かった。また、本反応のさらなる展開を目的として現在対応するCpRe錯体の合成に取り組んでおり、その触媒的不斉合成についても今後検討を行っていく予定をしている。面不斉シクロファン類の合成にも取り組んでいるが、今年度も引き続き検討をおこなう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
面不斉遷移金属錯体を触媒的不斉合成し、さらにその触媒的不斉合成で得られた錯体を、次の不斉反応の際の触媒として活用するという当初の目的は達成されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
我々はすでに速度論的分割によりにCpMn錯体の面不斉を触媒的不斉合成にて合成することに成功している。今後、CpReカルボニル錯体においても同様に、触媒的不斉合成の検討を行うとともに、その面不斉を活用した配位子の合成をおこなう。また、引き続き、面不斉シクロファン化合物の合成も検討を行うことを予定している。具体的には、クロム錯体を活用した
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Research Products
(13 results)