2015 Fiscal Year Annual Research Report
サンドイッチ構造を基盤とする金属シートクラスターの創成
Project/Area Number |
15H03789
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村橋 哲郎 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40314380)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 浩二 分子科学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (70647198)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 金属クラスター / 錯体化学 / 有機金属化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
サンドイッチ錯体は、有機金属錯体の特徴を顕著に示し、さらに安定かつ官能基修飾が容易な金属錯体構造を与える。この特徴を生かして、サンドイッチ錯体は単核金属錯体の分子設計に広く利用されており、最も有用な錯体分子構造の一つとなっている。本研究では、このサンドイッチ型分子構造の概念を拡張し、金属クラスター骨格を有するサンドイッチ型錯体の化学を発展させることを目指して研究をおこなう。複数の遷移金属原子を大環状不飽和炭化水素や多環式芳香族分子の間にシート状に組み込む反応を開発し、その形成メカニズムと金属集合パターンの解明を目指す。 平成27年度では、大環状単環式芳香族配位子を持つサンドイッチ型クラスターの合成手法の確立を目指して研究をおこない、シクロオクタテトラエンを用いた3核シートクラスターが基質をバインドする際に4核シートクラスターへの増核を起こす現象を新たに発見した。また、シクロノナテトラエニルが4核以上の金属シートを挟み込む性質について解明を進めた。また、多環式芳香族配位子を持つサンドイッチ型金属クラスターの合成についても検討し、ペンタセンを用いた場合に、シートクラスターが形成されることを示唆する結果を得た。含酸素複素芳香環の架橋配位能に関する知見も得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属クラスター骨格を有するサンドイッチ型錯体の化学を発展させることを目指して研究を遂行しているが、平成27年度の研究により、大環状不飽和炭化水素(シクロオクタテトラエン、シクロノナテトラエニル等)および多環式芳香族(アセン類等)の多座架橋π-配位子としての有効性に関する重要な知見を得た。よって、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究により、金属シートを有するサンドイッチ型錯体の化学に関する基礎的知見が順調に得られていることから、これらをもとにして大環状不飽和炭化水素および多環式芳香族を用いたサンドイッチクラスターの創製を進めていく。
|
Research Products
(6 results)