2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03807
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 京子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60222197)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有機化学 / プロピレン / オリゴマー化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高分子合成の分野で開発されたプロピレンを立体規則的に重合させるための触媒を活用し、Deoxypropionate構造を単段階で構築することを目的とした。本法により、これまで多段階をかけて一つずつ構築していた不斉中心3点または4点を一段階で構築できる。従来の有機合成の方法論には全くなかった発想であり、本研究の成功は有機合成、高分子合成の両分野に大きなインパクトを与える。 1.ジルコノセン触媒を用いるプロピレンオリゴマー化条件の検討:ジルコノセン触媒として、プロピレンのオリゴマー化の重合開始剤の最適化をおこなった。まず、最も一般的に用いられているmethylaluminoxane (MAO)を用いた場合には、得られるオリゴマーの分子量の分布が大きく、またメチル基開始のオリゴマーとヒドリド開始のオリゴマーが混在した。一方、ジエチル亜鉛を用いると、オリゴマーの合計収率が向上し、得られたオリゴマーはすべてエチル基開始体だった。 2.アルコールの単離:上記で得られた亜鉛に結合しているオリゴマーを酸素で酸化し、逆相シリカゲル液体クロマトグラフィーで単離した。当初予定していた4量体のアルコールだけではなく、3量体、5量体のアルコールについてもそれぞれを単離することに成功した。なお、このうち4量体のアルコールについては、これまで数多くの研究者が挑戦してきたターゲットである。従来は最短で8段階で合成されていたが、本法では1段階で合成できた。 3.テトラメチルデカン酸合成 得られた4量体のアルコールを酸化し、テトラメチルデカン酸を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度に完了予定であったテトラメチルデカン酸合成については、目標通りに達成した。また、当初の予定の範囲を超え、目的の4量体だけではなく、3量体、5量体も効率よく単離でき、天然物類縁体の同時合成にもつながることを見つけることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
触媒として光学活性体をもちいて、触媒的不斉合成に展開する。また、all-syn体に加え、anti体合成の戦略についても検討を開始する。
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Research Products
(4 results)