2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03855
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
矢貝 史樹 千葉大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80344969)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超分子ポリマー / 光異性化 / メカノクロミズム / アゾベンゼン / ナノファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度前半は、ナフタレンとアゾベンゼンを有する水素結合性分子をモノマーとして用い、螺旋構造を有する超分子ポリマー(ナノファイバー)の構築と、その光応答性に関して研究を進めた。その結果、光によって自発的湾曲性を制御可能な超分子ポリマーの開発に成功した。さらに、超分子ポリマーの調製条件を精査することで、数ミクロンメートルにわたって螺旋構造を有する超分子ポリマーを作ることができた。この超分子ポリマーに紫外線を照射すると、螺旋構造がほどけ、伸長した超分子ポリマーへと構造変化することも明らかにした。このようなナノ構造体は他に例がなく、世界初の画期的な研究成果と言える。本成果はすでに論文としての掲載が決定している。さらに、ジアリールエテンを用いた光応答性超分子ポリマーの構築にも成功した。 昨年度後半は、固体状態で機械的な刺激によって相転移が起こりうるナノ材料の構築に取り組んだ。すでに報告済みの両親媒性発光性メカノセンシティブ分子と、新たに合成した両親媒性光応答性アゾベンゼン分子を混合して橙色に発光する薄膜を作成した。ここに、機械的刺激を印加しても、蛍光色の変化は起こらなかった。しかしながら、機械的刺激を印加したのちに紫外光を照射すると、発光色が緑色に変化することを見出した。現在のところ、この理由は、紫外光照射によってアゾベンゼン光異性化によって液体化し、発光性メカノセンシティブ分子とナノレベルで相分離を起こすためと考えているが、確かな証拠はつかめておらず、今後さらなる精査が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果は当初の予想を上回るスピードで進んでいるものと判断できる。偶然見出した現象を深く精査することで、これまでにない光応答性を示す超分子ポリマーの開発に至った。しかしながら、本科研費申請時に予定していたメカノセンシティブシステムに関しては、まだようやくその基本となる新規現象を見つけたにすぎない。したがって、昨年度は総じて概ね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度後半に得られた成果「光照射によるナノ相分離現象」は、これまでに報告がない画期的な現象である。今後この現象のメカニズムを、時間分解蛍光寿命測定、X線構造解析、偏光顕微鏡などを駆使して明らかにする。また、最終年度であるため、本成果を論文としてまとめ、学術誌に投稿する。
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Research Products
(5 results)