2017 Fiscal Year Annual Research Report
Preparation of superstrong and transparent films using truxillic acid as a molecular spring
Project/Area Number |
15H03864
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
金子 達雄 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20292047)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桶葭 興資 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 講師 (50557577)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 透明樹脂 / 高性能高分子 / ポリアミド / 光反応 / バイオベースポリマー / 力学物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
透明な高分子フィルムは光学材料として有用である反面、アモルファスな素材からなるためにその力学的性能は低く、そのため用途が限られている。そこで、研究代表者らが先に見出したトルキシル酸が持つ「V字型分子バネ」を最大限に活用し、高力学強度かつ無色透明なフィルムを作成することを目的として研究を進める。具体的には 1.桂皮酸誘導体の光反応性を制御しトルキシル酸モノマーの構造制御を行う 2.トルキシル酸モノマーの重合条件を明確にする。 3.トルキシル酸の立体構造に主眼を置き、高強度透明アラミド系ポリマーの構造物性相関を明らかにする。 昨年度までに、トルキシル酸モノマーの合成・重合条件を明確にし、シクロブタン置換基が互いに最も離れたα型が繰り返し単位中に2つ有するαーα型が最も分子量が上がりやすく、カルボン酸とフェニレン誘導体置換基が一か所入れ替わった屈曲型のβ型が加わると重合しにくいことが判明した。一方でαーα型はあまりにも剛直すぎるために得られるフィルムが脆くなることも分かった。そこで本年度はαーα型に柔軟基を適度に導入した半アラミド系ポリマーを合成し、上記の脆さの問題を克服することを目的として研究を進めた。結果として柔軟性官能基としてテトラメチレン基からオクタメチレン基までの炭素数が一つづつ増加した5種類の官能基を導入し、導入割合は25%、50%、75%を選択した。重合条件は微妙であり脂肪族と芳香族の混合系となるために60-80℃の間を5℃刻みで制御することで分子量制御が行えた。結果として分子量10万以上の十分に高分子量であるポリマーを得た。これを加熱湿式紡糸することで繊維を得た。この繊維の引張試験を行うことで初期長さの二倍以上伸張するタフな材料を得ることが可能となった。今後、これらの試験条件を最適化し強度向上およびタフネスの向上を目指しかつ光学材料としての有用性を追求する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トルキシル酸では、中心部位であるシクロブタン基の4つの炭素それぞれに置換基が存在し、二つの4-アミノキシリル基と二つのカルボキシル基がそれぞれ互いに最も離れた方向に存在する「α型」が、ポリアミドの繰り返し単位中に2つ存在するαーα型に柔軟基を適度に導入した半アラミド系ポリマーを合成する条件を明確にすること、および、これらのポリマーを成形し最も伸張性の高い組成を選択することを目的として研究を進めた。 研究としては、柔軟性官能基としてテトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基の5種類の官能基を導入し、導入割合としては5%、50%、75%、100%を選択して研究を進めた。100%に関しては重合条件としては最適化できたが、線維化した際に脆いものしか出来なかったため、3つの共重合体で比較検討した。重合条件は精密に制御する必要があり、60℃では全く重合が進めないが、70℃では重合が進みすぎてゲル化を起こしてしまう結果となった。これは、脂肪族と芳香族の混合系となるために反応性の著しく異なるモノマーを混合していることが要因と考えた。結果としては伊いずれの系においても分子量10万以上の十分に高分子量であるポリマーを得た。これをDMFに溶かし、それをDMFの沸点付近まで加熱し、そのまま湿式紡糸することで繊維を得ることが出来た。これらの繊維の引張試験を行った結果、脂肪酸の組成が上がる穂と伸張性が高く、75%の導入率の場合には初期長さの二倍以上伸張するタフな材料を得ることが可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに最適化した作成条件で得られた繊維などを用いて、それらの力学物性と光学的機能、特に透明度、屈折率、アッベ数、複屈折を調べ、構造物性相関を調べる。特にレンズなどの精密な光学材料として応用するには屈折率が高く複屈折が小さい方が良い。これらのアラミドは分子主鎖方向と側鎖方向の両方に芳香環が存在するため、小さい複屈折が期待される。これら一連の物性を得たうえで、構造と物性との関係を相互的に議論し、最も高性能かつバランスの良い物性を示すアラミドを見出し、高い力学性能と透明性を併せ持つ透明樹脂を開発する。
|
Research Products
(10 results)