2016 Fiscal Year Annual Research Report
多様な変形下の力学測定とX線CTによるエラストマー発泡体の特異な大変形挙動の解明
Project/Area Number |
15H03868
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
浦山 健治 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 教授 (20263147)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 幸宏 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 准教授 (60332285)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 発泡 / エラストマー / ゴム |
Outline of Annual Research Achievements |
独立気泡のモルフォロジーをもち,空隙率が異なるエラストマーを作製した.この試料を用いて,X線CT測定および二軸身長測定を行った.X線CT測定により,独立気泡のモルフォロジーを確認し,空孔サイズ分布を評価した.また,平面伸長および均等二軸伸長測定を行い,応力-ひずみデータを取得した.さらに,一軸伸長下の寸法変化からポアソン比を評価した. ポアソン比は空隙率が最大の試料で約0.25であり,空隙率が減少するにつれて(つまりゴム濃度が高くなるにつれて)増加し,純ゴムの値(0.5)に近づいていく傾向が観察された.調べた範囲内では,空孔のサイズ分布の影響は大きくはなく,空隙率が主要な変数であることがわかった. 平面伸長時の拘束側/伸長側の応力比は,空隙率が減少するにつれて大きくなった.さらに,二軸伸長データから弾性ポテンシャル関数を評価すると,ひずみの交叉効果を表すI2項の寄与が空隙率の減少とともに増加していくことがわかった.これは,空隙率が減少するに伴い,純ゴムの弾性ポテンシャル関数に近づくことを意味している. 以上のことから,独立気泡のモルフォロジーをもつエラストマーでは,気泡はエラストマーのポアソン比を減少させるとともに,異なる軸間のひずみの交叉効果を減少させる効果があることが明らかになった.これらの効果は,ゴムの化学種の変更や架橋密度の変化では生み出すことができず,気相の導入によって得られるユニークなものであることがわかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独立気泡のモルフォロジーをもつ試料の調整法を確立し,空隙率を変数としたモルフォロジーおよび力学特性を調べることに成功している.この結果の普遍性を明らかにするためにゴム種を変化させた測定まで進めることができれば理想的であった.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに,独立気泡と連続気泡のエラストマーの力学特性のデータを取得できたが,試料合成の都合により,ゴム種が同一ではなかったため,結果の差異が純粋に気相のモルフォロジーの違いによるものであるかどうかがはっきりしなかった.このため,これまでに確立した合成手法を改良することにより,独立気泡の試料と同種のゴムを用いた連続気泡のエラストマー試料を作製する.この試料を用いることにより,気相のモルフォロジーがエラストマーの力学特性に及ぼす影響を純粋に評価することができる.
|
Research Products
(7 results)