2015 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体/ポリマーブラシ複合表面の低摩擦摺動メカニズム解明とその実用化
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15H03871
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 貴哉 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30399258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上條 利夫 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00588337)
森永 隆志 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30467435)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イオン液体 / トライボロジー / 摩擦係数 / ポリマーブラシ / 共振ずり測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
重合性官能基を有するイオン液体(イオン液体モノマー)に表面開始リビングラジカル重合を適用して得られるイオン液体型ポリマー濃厚ブラシ(以下ILナノブラシ)は、良溶媒であるイオン液体中で伸びきり鎖に比肩しうるほどに高度に伸長する。このILナノブラシ膨潤膜は圧縮に対して強い抵抗を示すが、その一方で、摩擦に対する抵抗がほとんどない極低摩擦表面(動摩擦係数<10-3)であることが、ナノトライボロジー的に明らかとなった。その摩擦係数はブラシの構造と溶媒の組み合わせにより大きく変化する。本研究では、このILナノブラシ/イオン液体複合表面に関して、(1)低摩擦発現メカニズムの解明、(2) ILナノブラシおよびイオン液体の構造設計による低摩擦特性の更なる向上、(3)実用性の高いマクロスケール低摩擦表面の開発を目標とする。
今年度はイオン液体型ポリマー濃厚ブラシ系の基盤となるイオン液体2種類(DEME-BF4, DEME-TFSI)について、ボールオンディスク型摩擦試験機と共振ずり測定(RSM)の測定を実施した。RSM測定により摺動界面の狭小空間において、イオン液体が何らかの構造形成を起こし、固体様の分子構造体を形成することが明らかになった。既報論文との比較により、構造形成の起こる摺動面距離はカチオン、アニオンの分子構造によって変化することが明らかとなった。その構造体の滑り易さは、カチオンの種類によらずBF4アニオンのイオン液体のほうが、TFSIアニオンより大きいことも明らかとなった。RSMで測定されるイオン液体の狭小空間の振る舞いは、ボールオンディスク試験機で測定されるマクロなトライボロジー特性と強く関連していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りイオン液体の摩擦特性をボールオンディスク型摩擦試験機ならびに共振ずり測定を用いて明らかに出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
イオン液体型ポリマーブラシ表面のマクロトライボロジー特性を明らかにするとともに、共振ずり測定を実施する予定。測定用の平板にポリマーブラシを付与するin situ ブラシ付与技術を確立した。
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Research Products
(6 results)