2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03879
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
下嶋 敦 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (90424803)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環状シロキサン / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度は、1)人工イオンチャネル、2)分離膜としての応用を目指して、環状シロキサンのアルコキシリル誘導体の合成とその集合によるナノ構造体の合成について検討を行った。 1) 両親媒性の6員環シロキサンの自己集合によって、イオンが透過可能な大きさのポアを有する中空シロキサンナノ粒子の作製が期待できる。まず、既報を参考にn-オクチル基を有する6員環環状シロキサンがNa及びNiイオンに配位した錯体を合成した。これをClSi(OEt)3でシリル化することで、n-オクチル基及び-Si(OEt)3基を有する新規環状シロキサン誘導体を合成することに成功した。次に、アルコキシ(-OEt)基を酸性条件下、水-エタノール中で加水分解し、得られた溶液をガラス基板上にキャストして膜を作製した。XRD測定によって2.46 nmの周期構造を示すピークを観測したことから、自己組織化によるメソ構造の形成が示唆された。得られた膜はヘキサンに溶解したことから、外表面がオクチル基で覆われたナノ粒子の集合体であることが示唆された。 2) 12員環の環状メチルシロキサンがCu, Naイオンに配位した錯体を既報を参考に合成した後、ClSi(OEt)3でシリル化することによって、-Si(OEt)3基を有する大環状シロキサン誘導体を合成した。この分子を酸性条件下で加水分解・重縮合させることによって、透明なゲル膜を得た。固体NMRから、環構造がある程度保持されていることが示唆された。12員環はベンゼン誘導体などの比較的大きな分子が通過可能であり、従来のランダムな細孔構造を有するシリカ膜とな異なる高機能分離膜としての応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノポアを有するシロキサン系分子として2種類の環状シロキサンのアルコキシシリル誘導体の合成に成功しており、本研究課題の主要なターゲットであるイオンチャネルや分離膜としての応用に向けて順調に研究が進んでいると判断されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度以降は、これまでに合成した環状シロキサンからなるナノ粒子やゲル膜の応用について検討する一方、新しいシロキサン系分子としてかご型シロキサンの連結による環状構造体や中空構造体の合成にも取り組む。
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Research Products
(4 results)