2015 Fiscal Year Annual Research Report
金属並みの導電性をもつバナジン酸塩ガラスの開発とその二次電池正極材への応用
Project/Area Number |
15H03882
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
久冨木 志郎 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (90321489)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 重人 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (10304841)
吉岡 聰 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50452818)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 導電性ガラス / メスバウアー分光法 / 二次電池正極材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般にガラスは電気抵抗の非常に大きい絶縁体として知られるが、五酸化バナジウムを主成分とするバナジン酸塩ガラスは比較的抵抗の小さな半導体ガラスとして知られている。さらにバナジン酸塩ガラスは空気雰囲気での熱処理により電気抵抗を5~6桁程度大幅に下げることが可能であり、リチウムイオン二次電池新規正極材として注目を浴びている。これまでの研究の結果、バナジン酸塩ガラスの熱処理による著しい電気抵抗の減少は、ガラス中に副成分として数十%含まれるアルカリ類と主成分であるバナジウムから構成されるβ-バナジウムブロンズ(beta-MxV2O5, M=Na, Li, Ba etc.)の析出に由来することを見出した。さらにガラス組成15Li2O・10Fe2O3・20SnO2・5P2O5・ 50V2O5においてSnO2結晶のガラスマトリックス内での分散が導電性に寄与していることが示唆された。本研究では4価の金属酸化物M4+O2に着目し、酸化ジルコニウム(ZrO2)を添加した新規ガラス(xZrO2・(20-x)CaO・10Fe2O3・70V2O5(以後xZCFV))を作製しその物性と構造の相関を調査した。その結果10ZCFVの充放電曲線の放電容量は440 mAhg-1であったのに対し、20ZCFVの場合は400 mAhg-1 と若干低下した。さらに280~350 mAhg-1にかけてZr4+→Zrの還元に起因する曲線が得られた。繰り返し特性試験についてはいずれの試料の場合も10回程度の繰り返しの間は250~300mAhg-1の容量を維持できた。次年度以降は、容量低下の要因を解明し、バナジン酸塩ガラスの二次電池正極特性の向上を試みる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二次電池特性については容量やや低いものの、MO2型の酸化物を含むバナジン酸塩ガラスの作成、評価についてほぼ予定通り進捗しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度はさらに、二次電池正極特性を向上させたバナジン酸塩ガラスの組成開発と物性評価を行う。方策としては溶融法でガラスを作成するほか、ゾルゲル法による作成も試みる。ゾルゲル法でガラスを作成すると多孔質になることから、電極反応が向上する可能性が見込まれる。研究計画の予定通り、ナノ粒子を含むバナジン酸塩ガラス作成も並行して実施する。
|
Research Products
(17 results)