2016 Fiscal Year Annual Research Report
灰化ウシ海綿骨を担体とする高力学適合性再生骨の開発
Project/Area Number |
15H03890
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 茂雄 金沢大学, 機械工学系, 教授 (20262602)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 秀憲 金沢大学, 医学系, 助教 (10507057)
平野 義明 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (80247874)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 再生骨 / 灰化骨 / テッシュエンジニアリング / 電磁場刺激 / 骨芽細胞 / 石灰化 / 力学的特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究成果】本研究では、灰化ウシ海綿骨の力学的特性を生体骨並みにすることを目標としている。当該年度においては、目標を達成するために設定した方法の一つである灰化ウシ海綿骨担体の繊維強化を試みた。ナノ粉体化した灰化海綿骨とアルギン酸ナトリウムの複合体を作製し、高靭性な再生骨担体材料としての可能性を調査した。力学的試験の結果、乾燥状態では生体骨と同等の力学的強度と剛性を有することが分かった。また、この特性を発揮するには、灰化骨のナノ粉体化とアルギン酸ナトリウムとの均質混合が不可欠であることが明らかとなった。さらに、塩化ナトリウム粒を利用した同複合体の多孔質化を試み、マイクロCT観察の結果、生体海綿骨と同等の空隙率を実現することに成功している。【意義・重要性】灰化ウシ海綿骨は低コストで調達可能な魅力的な再生骨用担体素材であるが、灰化処理により脆弱化した力学的特性の改善が課題であった。上記の成果において、灰化海綿骨を一旦ナノ粉体化し、それをアルギン酸ナトリウムで繊維強化することで生体骨並みの力学的な靭性を与えることが可能であることが明らかとなったことは、材料的観点からのアプローチで目標を達成したことを意味している。加えて、同手法は、再生骨を自在に成形できるメリットも兼ね備えており、このことは、目的に合わせた再生骨の形状設計という将来的な発展性を示唆している。以上のことから、得られた知見は、灰化ウシ海綿骨の再生骨素材としての応用の可能性を著しく高める結果であったと言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度における目標は、繊維強化による灰化骨の力学的強化であった。当初、繊維強化剤としてキチン・キトサンを用いて、それを灰化骨への浸透を試みたものの、十分な浸透が期待できないことから、灰化海綿骨をナノ粉体化し、繊維材と混合することで複合化する方法へ変更した。加えて、繊維材を、カルシウム架橋による強度向上が期待できるアルギン酸ナトリウムへ変更することにした。その結果、生体骨の持つ力学的特性と同等の複合材を作成することに成功している。一方で、体液や培地中に置いた場合に、架橋が外れて力学的強度が低下する課題も明らかとなっているものの、おおむね計画通りに進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、①ナノ灰化骨パウダーとアルギン酸を用いた複合体の体液中における力学特性の低下を防止する方法の検討を行う。これと並行して、他の複合化の方法、例えば、ナノ灰化骨パウダーとI型コラーゲン線維の複合化を試みる。特に両素材を湿潤状態で均質混同することを目標として、そのための方法の探索を行う予定である。②加えて、RGDSペプチドの塗布・浸透により、担体素材表面において骨芽細胞の増殖、分化、および石灰化が促進される様子を、樹脂包埋切片を使った顕微鏡観察およびマイクロCTによる非破壊観察により明らかにする予定である。③さらに、作成した再生骨をラット骨へ移植し、移植後の組織置換、構造変化、および力学的特性の維持について調べていく予定である。
|
Research Products
(4 results)