2015 Fiscal Year Annual Research Report
ピエゾ材料を用いた時空間能動型パルスエコー・受動型電気ポテンシャル併用欠陥同定
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15H03897
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
久保 司郎 摂南大学, 理工学部, 教授 (20107139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪上 隆英 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50192589)
井岡 誠司 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (50283726)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 構造物健全性評価 / 非破壊評価 / 破壊力学 / 逆問題 / 逆解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、構造物の健全性評価のため、ピエゾ材料を用いた時空間能動型パルスエコー・受動型電気ポテンシャル併用欠陥同定手法を確立することにある。すなわち、検査物体の表面にピエゾフィルムを貼付し、ピエゾフィルムに受動的に表れる電気ポテンシャル分布より欠陥を同定する。また、ピエゾフィルムに設置したプローブに電気的パルスを印加し、逆ピエゾ効果により超音波を発生させる。ピエゾ効果を利用し、欠陥等の反射波をピエゾフィルム全面で受信する。ピエゾフィルムを検査物体の複数の面に貼付し、あわせて各プローブにおける送信時刻を相互に調整することにより、自由度の高い情報を獲得する。 このため、まず受動型電気ポテンシャルCT法に関する検討については、貫通き裂状欠陥を有する試験片の上面および下面にピエゾフィルムを貼付したときの電気ポテンシャル分布を総合し、残差最小化法によりき裂の位置と形状を推定する数値シミュレーションを行った。両面のポテンシャル分布を使うことにより、き裂同定の確実性が増すことがわかった。また、き裂同定において、観測値と計算値の間で評価した残差をき裂パラメータのべき関数で表現し、それをもとに残差の最小値を与えるき裂パラメータを求める操作を組み入れることにより、き裂同定の迅速化を行った。 能動型パルスエコーについては、波動に関する支配方程式の随伴方程式が時間を反転させた波動方程式であることを利用して、時間反転法を提案した。すなわち、ピエゾフィルム上に設置されたプローブ各点で計測された反射波を計測する。この反射波を、時間を反転させて各プローブ上で発信するときの波の焦点化によりき裂を同定する。プローブの配置面と間隔を変えて、欠陥同定の確実性を調べた。その結果、プローブ間隔が狭い場合には、反射波の焦点化ができやすいが、間隔が広い場合には、き裂先端位置の同定の確実性が増すことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中核となる受動型電気ポテンシャルCT法、能動型パルスエコーともに、数値的検討が中心ではあるものの、研究が進んできている。
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Strategy for Future Research Activity |
受動型電気ポテンシャルCT法の適用において、き裂より離れた面のポテンシャル分布を使用した場合には必ずしも精度が向上しないことがわかった。ピエゾフィルムを貼付する面をどのように定めるかを検討していく必要がある。 能動型パルスエコー法のための時間反転法の適用については、プローブの配置と間隔を変えたときの波の収束性と収束波の位置の精度がトレードオフの関係にあり、両者を見定めて最適なプローブの配置と間隔をどのように定めるかの指針を検討していく必要がある。
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