2015 Fiscal Year Annual Research Report
超高速光弾性応力撮像法によるガラスの機械的割断機構の解明と動的割断理論の構築
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15H03898
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森田 昇 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30239660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比田井 洋史 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60313334)
松坂 壮太 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30334171)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ガラス / ホイール割断 / 高速偏光計測 / 内部応力場 / 割断面品質 / 走査型電子顕微鏡観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ガラス材料のホイール割断加工の際に材料内部に生じる応力が亀裂の生成・進展挙動に及ぼす影響を実験的・理論的に明らかにすることを目的としており,平成27年度は主として,以下の4点に関する研究開発を実施した. (1) 新規割断装置の設計・製作:ガラス基板保持機構周辺に十分なスペースを有し,多方向から基板を高速観察可能でかつ,割断条件の自由度の高い割断装置を製作した.これにより,従来は困難であった基板上方からの高速度カメラ撮影・位相差計測が可能となった. (2) 走査型電子顕微鏡(SEM)内での割断可視化装置の設計・製作:ホイールとガラス基板の接触領域近傍を高倍率で観察可能なSEM内割断可視化装置を製作し,ホイール直下でのガラスの変形挙動を観察した.これにより,ホイールの圧痕周辺に形成された弾性・塑性域を判別することが可能となった. (3) ホイール押込み時のガラス内部応力状態の数値解析:有限要素法解析(FEM)を用いて,ホイールとガラス基板の接触領域近傍での応力解析を実施し,ガラス内部応力場と亀裂進展挙動との関係を検討した. (4) 位相差情報を利用したリアルタイム割断面品質推定手法の提案:ガラス基板上方に設置した高速偏光カメラから得られる位相差情報を利用して,ホイール走査(スクライブ)時に非破壊で割断面品質を推定可能な手法を提案した.本手法では,割断条件によって異なる断面品質の推定が可能となるばかりでなく,スクライブ中に割断面品質が変化する場合であっても,その品質を正確に推定可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験面では,新規割断装置およびSEM内可視化装置ともに,一部の改良点を除いて概ね完成しており,既に実験にも供されている.これらの装置により,高速偏光観察や微視的観察が可能となっていることから,本研究課題の遂行に必要な実験環境はほぼ準備できたといえる.また,ガラス基板上方からの偏光計測がうまく機能したため,割断面品質のリアルタイム推定が可能となった.一方,解析面については,FEM解析から予測される位相差分布と実験から得られる位相差分布に完全な一致が認められるには至っていないが,FEM解析による応力場の計算結果を用いて生成した亀裂の進展位置を推定できていることから,ある程度の妥当性を有した計算結果が得られているものと考える.以上のことから,本研究課題は概ね順調に進展しているものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,以下の方針に沿って研究を進める予定である. (1) ガラス基板上方,前方,側方からの高速度カメラ観察,高速偏光計測を実施し,亀裂進展に伴うガラス内部応力場の変動を高い時間分解能を有した位相差情報として可視化する. (2) ガラス中に亀裂進展を伴うホイールの押込み,転がり挙動をモデル化し,FEM解析によってスクライブ中のガラス内部応力場を計算する.また,解析から予測される位相差分布と,上記(1)の実験から得られる位相差分布とを比較・検討することによって,スクライブ中のガラス基板をFEM上で正確に再現可能な手法を確立する. (3) SEM内割断可視化装置を用いてホイールとガラス基板の接触部近傍を詳細に観察し,ガラス表面での粘弾性変形挙動を検討する.また得られた結果を上記(2)の計算に取り込むことによって,解析手法の高度化と計算精度の向上を図る.
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Research Products
(2 results)