2015 Fiscal Year Annual Research Report
微空間で精密に創成した高安定ナノ熱収支場による次世代超平滑面の非接触高速欠陥評価
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15H03907
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 裕樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70606384)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 計測工学 / トライボロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ウエハ,ガラスマスク,超大容量磁気ディスクなど,表面粗さがサブnmレベルの次世代超平滑面(ナノ平滑面)に要求されるナノ欠陥検出実現を目的とし,微空間ナノ間隙における熱収支場(ナノ熱収支場)を利用して非接触かつ高速でナノ平滑面上の欠陥を検出する,全く新しい欠陥検出原理を提案し,測定対象であるナノ平滑面を基準面(データム)として利用するナノ間隙制御手法を確立すること,また,センサ素子加熱によるナノ熱収支場生成機能と共焦点光学系によるナノ間隙制御機能を融合したナノ間隙プローブを開発し,従来技術では困難であるサイズ10nm級のナノ欠陥検出・評価を実現することを目的としている. 本年度は,提案のナノ間隙プローブ実現に必須となる,安定したナノ熱収支場生成技術の確立と,プローブ-ナノ平滑面間隙制御技術の開発に取り組んだ.まず,露光プロセスをベースとして,薄膜抵抗体からなるナノ熱収支場生成素子を試作した.また,ナノ間隙制御用レーザー光学系プロトタイプの構築に向け,共焦点光学系の一部を構築し,素子基礎特性の評価に用いた.当初はガラス基板上への素子生成を予定していたが,理論検討の結果,シリコン(Si)基板上に構成した素子によっても充分安定な熱収支場が生成できる見通しが得られたため,当初の予定を変更し,Si基板上に構成した素子を用いて,生成ナノ熱収支場の基礎特性を評価した.精密PZTステージを用いた試作素子評価実験用システムを構築するとともに,これに間隙量ゼロ点検知機構を付与し,間隙量を精密に制御しながらの素子評価を実施した.素子印加バイアス電流によりナノ熱収支場生成を制御しながら,ナノ平滑面上の欠陥検出を模擬したシミュレーション実験を行った結果,凹凸形状の非接触検知実現の可能性を見出すとともに,試作センサを間隙変化量検出センサとして活用できる見通しを得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論検討の結果を踏まえ,一部計画を変更したが,初年度の目標である,安定したナノ熱収支場の生成,およびセンサ-ナノ平滑面間隙制御の実現に対する見通しを得ることができたことから,概ね順調に進んでいるものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる28年度は,当初の予定どおり,前年度に試作したセンサ素子を搭載したナノ間隙プローブの設計・試作に取り組む. 装置構成をよりコンパクトなものにするため,初年度の検討結果をもとに,Si基板上に試作したセンサ素子をそのまま間隙量検出センサとして用いるナノ間隙プローブを構築する.また,研究開始当初の計画であったガラス基板上へのセンサ素子構築,および間隙量検出向けの共焦点光学系構築を並行して進め,双方の実現可能性を検討する.
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Research Products
(5 results)