2015 Fiscal Year Annual Research Report
超流動乱流における量子渦の可視化と普遍的エネルギースペクトルの解明
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15H03917
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻 義之 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00252255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 高啓 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00345951)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 流体工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子乱流場の三次元可視化システムを構築するため、微細粒子の生成法、レーザー光学系の調整をおこなった。既存の連続光レーザー(4W)と高速度カメラをセットにした計測をおこない、1kHzでの連続撮影を可能とした。また、より微細な領域を可視化できるように光学系を改良することで、6mm四方まで狭めることができ、時間・空間分解能を向上させて量子乱流場の計測に適用した。その結果、渦タングルの自己相似構造が自発的に形成される過程、量子渦のつなぎ替えを可視化することができた。熱対向流状態において、微細粒子のLagrange速度の計測から、流動場の特性を明らかにした。熱対向流が理想的に形成される熱流束では、常流動成分と超流動成分にそれぞれピークを持つ速度分布が形成される。しかし、そのピーク値は二流体モデルより計算される速度より小さな値を示した。熱流束が大きいくなるにつれて、対向流は崩れ、発達した乱流状態が形成された。この状態における粒子加速度を算出した結果、古典乱流と同様に強い間欠性を示すことが明らかになった。 粒子加速度が大きな値を示す物理的背景には、量子渦のつなぎかえが関係することを可視化により確認できた。量子渦にトラップされた微細粒子は、渦のつなぎ変えやタングルに捕捉される過程で大きな加速度を生じる。これが、速度場の間欠性と深くかかわることがわかった。また、粒子のラグランジュ速度を常流動成分、超流動成分に分離することで、加速度統計に差異が出ることが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
装置の故障や計測器の不具合により、可視化実験が遅れていたが、おおむね予定通りのデータ解析をおこなえた。
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Strategy for Future Research Activity |
液体Heの温度は、デュアー内の圧力を調整することで飽和蒸気圧線に沿って変化させている。現状のロータリーポンプでは、超流動状態(2.17K)から1.7Kまで温度を下げるのに約3時間を必要とし、これ以下の低温に達することができない。Landauが提示した二流体モデルでは、1.7K以下では超流動成分が支配的となり、量子渦タングルの形成が活発になるため量子乱流状態も大きく異なることが予想される。従って、より低温での実験を実施する。また、より微細な粒子を生成するため、粒子の生成方法を改善する。これまでの予備実験から、超流動状態において水素を微小量播種することが有効と考えられる。 三次元流動場の可視化については、光学系の調整をおこない、量子乱流状態のHe温度依存性を継続的に計測する。可視化窓が限られているため、狭い視野角で撮像できる光学系を構築する。微粒子の追跡アルゴリズムを改良する。 空間分解能の向上には、顕微鏡レンズを準備している。これまでの約2倍に空間分解能を向上させることができる。時間分解能を調整することで、より高精度の粒子速度および加速度の算出を実施する。
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Research Products
(2 results)